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朗読を始めると、自分の声質に気づきやすくなる(写真はイメージ) =PIXTA

朗読を始めると、自分の声質に気づきやすくなる(写真はイメージ) =PIXTA

声は衰える。しかも、割とすぐに。新型コロナウイルス禍のせいで、家ごもりが続くと、会話の機会も奪われる。しゃべる機会が減れば、のどが弱り、トーク術も鈍りがちに。リモートワーク下でのオンライン会議の際に自分の「声力」のダウンに驚かされることもあるから、対策を講じておきたい。

オギャーと産声をあげて以来、多くの人にとってしゃべることはごく当たり前の営みだ。「日常会話」という言葉がある通り、会話は日常的な行為だった。

しかし、日常は消え去り、「ニューノーマル」に取って代わられた。会話のシーンも日常から減った。過去にも様々な自然災害や災厄があったが、これほど広範囲にわたって、日本人の会話量がめっきり減ったのは、私が知る限りでは今回のコロナ禍が初めてだ。

声をなりわいにしてもう長い。「飯の種」だけに、日ごろから声の健康維持にはそれなりに気を使っているつもりだ。「冷やさない」「声を張りすぎない」「うるおいを保つ」などは、基本的なのどケアといえるだろう。

だが、今回のコロナ禍で起きたのは、声を出す場面が減ったせいで、しゃべりのスキルが衰えたという現象のようだ。オフィスに出勤するタイプの仕事に就いていれば、起こりにくかった事態と思われるが、今回は出勤が減り、職場で会話する機会が奪われた。

私の周りでも「在宅勤務が増えて、しゃべるチャンスが減った」と感じる人が少なくない。私自身も打ち合わせの頻度が下がり、人に会うのは画面越しというケースが多くなった。

実際に顔を合わせていれば、意外にたくさんの言葉を交わしているものだ。沈黙が続くのは気まずいので、無駄な感じの軽口でも口をついて出る。相手の言葉には相づちを打つ。自然とのどは活発に動かされ、発語能力は維持される。

だが、オンライン会議ではそうはいかない。目の前に相手がいない状況では、何だか空気に話しかけるような気持ちになってしまい、リアルな会話に比べて、言葉を発する頻度が下がりやすい。相手の声に重なってしまう「かぶり」を嫌って、必要のない限り、ミュート(消音)設定で参加していると、音声が伝わらないのだから、なおさら声を出す意味がない。結果的にオンライン会議ではトータルの発語量が減りがちだ。

「必要がなくてしゃべらないのであれば、それで構わないだろう」と考える人もいそうだ。しかし、話はそう簡単ではない。しゃべりは経験の積み重ね・継続が欠かせないスキルだ。幼い子供は猛烈な数の言葉をしゃべって、会話能力を身につけていく。会話の機会がいくらか減っても、いったん習得した会話能力がゼロになることはないが、レベルダウンは起こり得る。要するに、会話の頻度が下がれば、しゃべりが下手になってしまうのだ。

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