検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

今年はどんな年越しそば? 海外と日本巡るSobaの世界

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ボンジュール!パリからお届けする「食の豆知識」。今年も残すところあとわずか。年越しに除夜の鐘を聞きながら食べるものといえば……。それが今回のテーマ「そば」だ。そばは、年越しそばや引っ越しそばなど、ハレの日の食べ物として日本文化に根付いている一方で、街角や駅構内の立ち食いそば店で手軽に空腹を満たすこともできる、現代日本人の食生活には欠かせない食べ物の一つだろう。

日本ではそばのほとんどが、穀物のそばの実を主原料として麺状に加工したもの。中華そばなどと区別して「日本そば」とも呼ばれる。ともすると、これほど日本的なものはほかにはないように思ってしまう。しかし、世界的に見ると、そば自体は極めてメジャーな存在。そして、麺という形状にとらわれず、様々なかたちで古くから愛され続けている食材なのだ。

まずは、世界におけるそばの生産量をデータで見てみよう。FAOSTAT(国際連合食糧農業機関統計データベース)による2018年のそばの生産量は、1位中国(約113万トン)、2位ロシア(約93万トン)で、この2国がダントツだ。だいぶ離れて3位フランス(約19万トン)、4位ウクライナ(約14万トン)と続き、日本はなんと10位(約3万トン)にすぎない。

生産量第3位、ここフランスでの食べられ方は、そば粉を使った「ガレット」が真っ先に思い浮かぶ。そば粉・卵・水などを合わせた生地をたっぷりのバターでこんがり焼き、その上にチーズやハムなどをのせて、シードル(リンゴの微発泡酒)と合わせて食べるのが定番。

そういえば最近、毎日が異文化交流な筆者の家庭内で、こんなことがあった。フランス人の夫が「Sobaが食べたい」と言うので、大切な日本製のそばの乾麺をゆでようとしたところ、「それじゃない、焼いたSobaだ」と首を横に振る夫。彼にとってSobaとは日本そばのことではなく、どうも「焼きそば」のことを指しているらしい。

美食の国フランスでも、日本が世界に誇る手軽でおいしい即席カップ麺は人気者。最近パリのスーパーでよく見かけるのが、見慣れたNISSINのロゴが入ったカップめんと「Soba」と書かれたカップ焼きそばだ。

日清食品ホールディングス広報部長の大口真永さんによると、「約10年前、欧州の即席カップめん市場は『カップヌードル』のような汁ものが主流で、カップ焼きそば(湯切りする汁なし商品)のジャンルが確立されていませんでした。この状況下で、当社は2010年から新機軸商品として、欧州にて『Soba』ブランドのカップ焼きそばの商品展開を始めました」

なぜブランド名が「Yakisoba」ではなく「Soba」だったのだろうか。大口さんによると、「正に新しいジャンルを切り開く商品だったため、『言いやすさ(発音のしやすさ)』や『パッケージデザイン・視認性』の観点などから、最終的に『Soba』に決定しました。味の種類も今では7種に及び、人気商品です。徐々に一般の方々への認知が高まり、『Soba』=カップ焼きそばを思い浮かべる方も多くなっているとのうれしい話も聞いております」。ああ、これはまさにうちの夫のことではないか!

Sobaというワードが欧州で「焼きそば」を連想させるものとして発展を見せる一方で、パリにはおいしい「日本そば」のレストランも複数あり、現地の人々からも人気を博している。さらに、有機食品スーパーに限られていた日本そばの形状をした麺が、大手スーパーのPB商品でも見られるようになった。グルテンフリーな食材としてフランスでも注目されるそば粉は、今後一層「日本そば」のような形でも一般的に認知され、新たな展開をみせていくのではないかと個人的に思っている。

さて、ほかの国ではいったいどのような食べ方をしているのか。ここからは、そばのエキスパートにお話を聞いた。

日本国内のそば粉シェア最大手、そば生産の盛んな信州に本社を構える日穀製粉(長野市)によると、「そばは、ロシアではそばの実のおかゆ『カーシャ』、中国内モンゴル地方では、太い麺にして具入りスープをかけて食べる『ヘイロ』、ネパールではそばがきにカレーをかけたものが食べられており、韓国の冷麺にもそば粉が使われています」とのこと。

一方の日本そば。地域によって色々な食べ方があるような印象を持つが、「まず、日本三大そばと呼ばれる戸隠そば(長野県)・出雲そば(島根県)・わんこそば(岩手県)があります。さらに全県にそれぞれの食べ方がありその数は何百種類にもなります。信州だけでも、戸隠そば・投汁(とうじ)そば・スンキそば・凍り(こおり)そば・富倉そば・はやそば・辛味大根そばなど、地域に根差した料理として発展し今もなお愛されています」(日穀製粉の担当者)。

数百種類!? どうやら、想像していた以上に全国各地でローカルフードとして独特の発展を遂げているようだ。

冒頭に述べたように、「ハレの日」の食べ物として頻繁に顔を出すそば。大みそかの夜に食べる「年越しそば」の由来について、日穀製粉はこう続ける。「江戸時代中期にはすでに定着し、様々な説があると言われています。代表的なものでは、年の瀬を越せない町人に『世直しそば』と称してそば餅を振る舞ったところ、翌年からみな運が向いてきたため大みそかにそばを食べる習わしが生じたとする説、そばは切れやすいから、旧年の労苦や災厄をばっさり切り捨てると願う説、植物としてのそばは少々風雨にあたっても翌日陽が差せばすぐ起き上がることにあやかり、捲土(けんど)重来を期して食べるという説等々、色々な縁起を担いで年越しそばは食べられています」。

一体どれだけの縁起を担いでいるんだ!と突っ込まざるを得ない、そばという食材のマルチな面をうかがい知ることができる。

気になるそばの栄養面についてはどうか。そばは、うどんやパスタなどほかの麺と比較して、穀物では唯一、抗炎症効果や血流改善効果があるといわれるポリフェノールの一種ルチンが含まれているほか、コメや小麦には少ないアミノ酸のリジンが多く含まれている。「そば粉に限らず、そばの実を粒状のまま加工した『そば米』(同社にて販売中)はそばの栄養価も丸ごと摂取でき、様々な料理にお使いいただけるのでおすすめです。ダイエット食としても話題ですよ」と教えてくれた。

やはり、栄養価からしても世界を魅了するポテンシャルにあふれるそば。なかなか外食が難しい昨今、自宅でそばをおいしく食べるためのポイントを日穀製粉に伝授いただいた。

「乾麺の場合、ゆでる前に20分程度水に浸してからゆでると生麺っぽい仕上がりになります。また、そば湯に関しては、スーパーなどで市販されている生そばの場合『打ち粉』にでんぷんなどを使用していることが多く、製麺の際に『食塩』を使用することもあるため、そば湯に適さないことがあります」

水に浸すとは目からウロコ。次回から、コメを吸水させるがごとくそばの乾麺は水に浸す、そしてパッケージに「そば湯も飲める」と記載のあるもの以外はそば湯を控える、これでいこう。

家でおいしくできるポイントを聞いたところで、最後に日本酒にも目がない飲兵衛な筆者が個人的にイチ押しなそばの食べ方を紹介しよう。その名も「カラスミそば」。ゆでたそばに日本酒と白だしを適量まわしかけて、最後にカラスミをふんだんにすりおろしただけ。カラスミの塩気とそばの風味、日本酒との相性が抜群だ。

今年はコロナの影響で帰省できそうにないが、フランスでも、縁起をおおいに担いで年越しそばを楽しむことにしよう。皆さんもどうか、よいお年を。

(パリ在住ライター ユイじょり)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

業界:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_