――塁さんも服好きですよね。
塁「好きですね。服や靴は3代の中で一番持っているんじゃないでしょうか。量にすると一部屋くらいあって、靴は多いときで300足ぐらい。2人から引き継いだものもかなりありますから」
祥介「塁は若い時から捨てないんだよ。僕なんか新しいものを買うときは何かを捨てる。服も靴もクローゼットに入る分以外は持たない」
塁「基本的には捨てないですね。だって、捨てるに値するものがない」

「良い服を長く大事に」が原点
――今年のファッションの話題はサステナブルです。
塁「再生こそしないけれど、良い服を捨てないで長く、大事にするということは原点。謙介から自然と学んでいったことでもあります。先日靴のソールを直しに行ったんです。ちょっと修理に出すのが恥ずかしいくらいくたびれている靴なんだけど、修理屋さんがまだまだ10年はいけますよと言うんで、結局ソールだけじゃなくて、全部手入れしてもらって1万円くらいかかりました」

祥介「英国のチャールズ皇太子はモノを大事にし、靴だって補修しながら50年もはき続けるといいますもの」
――チャールズ皇太子の靴には補修したところにパッチがあてられ「チャールズパッチ」などといいますよね。しかもいつもぴかぴか。石津家でも服や靴のケアは熱心ですか。
塁「結構やりますよ。このあいだ肘につけるエルボーパッチ(肘当て)をネットで買いました。フラノのネイビーのジャケットの肘が光ってきたので、かっこ悪いなと思って。自分でエルボーパッチを付けたことがなかったので、やってみたくなりました。ネットで見つけてびっくりしたのは、きれいに縫い付けられるように、パッチの周りに縫う場所の穴があいていたこと。そして、豚革もあれば人工皮革もある。雰囲気重視なら豚革、洗濯をしたい人は人工皮革を選べばいい。最初間違ってグレーのパッチを買ってしまって、父のグレーのジャケットでひじが光ってきたモノがあったので、自分でやってください、とあげました」
祥介「パッチの縫い方って難しいよね」
塁「難しさも楽しさのうちですよ。昔、イギリス人が冬のジャケットをおじいさんから受け継いで、パッチを付けて着続けるというのを聞いて、いいなあと思っていました」