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特別な人しかリーダーになれない。そう思っている人は少なくないだろう。だが答えは「否」だ。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させたマーケター・戦略家の森岡毅氏は、「リーダーシップは誰にでも身につけられる後天的なスキル」と断言する。そして、コロナ禍の今こそ、自分の意志と選択で未来を変えるためのリーダーシップが必要だ。自分も人も生かせる存在になるために何をすればいいのか、最強スキルを獲得するためのノウハウを詰め込んだ森岡氏の最新刊『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』(日経BP)から「はじめに」の前半部分を公開する。

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"リーダーシップ"の身につけ方をこのタイミングで発信しようと思ったきっかけ、それは、この時代が見通しのきかない未曽有の"コロナ災厄"になったことです。

多くの人が「この先どうなるのだろう?」と今まで以上に不安に駆られていると思います。しかし本当の未来は、定まった"運命"のようなものではなく、先を見通して受け身で我慢するようなものでもありません。「自分が何を欲するのか?」という主役感で創っていくものです。自分の意志と選択次第で未来はいかようにも変わります。だから私は、皆さんに今こそ必要な"武器"を配りたい。その"武器"はコロナに関係なく、皆さんの充実した未来を切り拓くはずです。

最初に考えていただきたいことがあります。「特別な人しかリーダーになれない」という子供の頃から刷り込まれた思い込みは、大人になっても多くの人の中にあるのではないでしょうか? 本書は、その思い込みから目を覚まして、自分の中で"主役感あふれる毎日"を手に入れる方法を私なりに考えてまとめたものです。

身近なところにリーダーシップが必要なシーンがゴロゴロ溢れている

私は、10代の頃からいわゆるRPG(「ドラゴンクエスト」のようなロールプレイングゲーム)をずいぶんとやってきました。多くのRPGのテンプレになっているのは、勇者、戦士、僧侶、そして魔法使いの4人構成です。それぞれに役割があって、戦士は物理攻撃と防御に突出したパーティーの盾、僧侶は仲間を死なせないための回復魔法の専門職、魔法使いは虚弱ですが攻撃呪文で派手に敵を殲滅(せんめつ)します。で、問題は"勇者"なのですが、特異な運命を背負って生まれた物語の主人公で、万能型の能力を持ち、そしていつもリーダーです。

でも、私自身は得意と不得意にメリハリ!?のついた凸凹タイプなので、何でもできる"万能型"は羨ましいというか、ちょっとムカつくというか、自身のアバターとしてはあまり共感できませんでした。どこかに尖(とが)った専門職の方が感情移入できるので、「なんで僧侶が主人公やリーダーじゃいけないの…?」といつも疑問に思っていたのです。今ならそれが商業的に正しいと理解できます(笑)。でも、この疑問は、今この本を書いている動機に底辺で繋(つな)がっている気がするのです。

何か特殊な運命や能力、"特別な人"だけが「リーダー」になっていくのだという刷り込み……。私自身もそのように子供時代から何度となく刷り込まれてきました。読者の皆さんも、知らず知らずのうちに何となくそういうものだと思ってしまっているのではないでしょうか? だって、伝記などで目にしたり聞いたりする「リーダー」は、どう考えても身近な人間に思えないですからね。我々は自分とはあまりに違う特殊な人ばかりをリーダーとして"学習"してきたのです。

物語でも、ハリー・ポッターは生き残った"運命の子"ですし、アーサー王しかエクスカリバー(剣)は抜けないわけです。歴史的人物を見ても、例えば織田信長のような人物は、その出自も性格も能力も異常としか思えない。近現代の立志伝中の人物も、例えば松下幸之助の伝承は素晴らしすぎて、本当だろうかと疑うほど、自分が真似できそうとはとても思えないのです。

でも、現実をよく考えると、そんな雲の上の話だけではなく、実に身近なところにリーダーシップが必要なシーンがゴロゴロ溢(あふ)れていることに気がつきます。人間は、群れをつくって生活することを好む社会性動物です。人が何人か集まってグループで行動すると、その中に自然な流れとして"みんなをまとめて指示を出す人"が現れます。職場にはもちろんいますし、家族で集まっても、他愛のない仲間の集まりであっても、選挙やジャンケンで決めたわけでなくとも、そうなっていきます。なぜなら、そうやって誰かが総意をまとめないとグループ全員で不幸になるから。リーダーシップが求められるのは、グループのより良い存続のためにその"機能"がどうしても必要だからです。

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