消費者の悩みに正面から向き合う社内カルチャー

企業イメージや体裁を気にして、真正面から「クサ」をキャンペーンの柱に据えるのは、一般的にはためらわれがちなところだろう。しかし、「お客様の悩みにしっかり向き合いたい」(青柳氏)という企業ポリシーに沿って、分かりやすい訴求を選んだ。「レッグウエアが本業であり、『足もとから、ひとりひとりのしあわせをともにつくる』というミッションを掲げている。お客様の悩みに寄り添うのは当然」と、ぶれもてらいも見せない。

男性用のヒットを受けて、働く女性に向けて10年に売り出したのが「SUPER SOX for ladies(スーパー ソックス フォー レディース)」。女性のおしゃれに欠かせないパンプスやブーツなどを履く際にも、足の蒸れ、においが「悩みの種」として挙がっていた。「足の悩みは性別を問わない。男性向けのヒットを見て、社内チームは女性向けの市場もあると感じていた」という。

さらに、17年には女性向けのブーツ用を投入。以前からブーツを脱いだときのにおいを気にする女性の存在は知られていたが、16年に実施した調査の結果、女性の4人に1人が「ブーツ着用時のにおいが気になる」と回答したデータを得て、商品化に踏み切った。「ものづくりではエビデンス(根拠)が大事。様々な商品開発やマーケティングでエビデンスに基づいた取り組みを意識している」(青柳氏)

データに裏付けられた手堅いものづくりは意外なところからも評価を受けた。09年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が募集した、宇宙飛行士の船内用被服に採用されたのだ。JAXAは詳細を発表していないが、翌10年、スペースシャトルに搭乗した山崎直子宇宙飛行士が着用したとみられている。

宇宙では洗濯が難しいうえ、持ち込める衣服の数にも制約が大きい。青柳氏は「消臭性の高い靴下が実力を発揮できる機会と考えて応募した」という。JAXAでの採用実績を宣伝に使うことはできないが、今でもJAXAのサイトには搭載品を紹介したページにしっかり「岡本」の名前が明記されている。

発売から15年を経て、商品のバリエーションは多彩に広がった

発売から15年を経た19年のリニューアルではウール糸をさらに磨いた。糸の中央部にポリエステルを配置した「NEW BREATHE FIBER(ニューブリーズファイバー)」という独自開発の糸を使い、サラッとした肌触りを高めた。耐久性をアップし、吸湿・放湿性も引き上げている。「かかととの継ぎ目が痛みやすいという、お客様からの声を受けて、強度を高める工夫を盛り込んだ。リピート買いの割合が高いからこそ、お客様から貴重な声が届く」と、青柳氏は固定ファンとの信頼感を重んじる。

新パッケージには「24時間におわない」とうたった。これもきちんとした研究結果に基づくエビデンスを得ている。「国内靴下売上高No.1メーカー」という添え書きは、業界紙「繊研新聞」のシェア調査が根拠。常にエビデンスや客観的データを示しつつ、足の悩みを本気で解決しようとする態度がスーパーソックスの指名買いにつながっているようだ。

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