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「SUPER SOX」の販売戦略を練る岡本のマーケティング担当 青柳一輝氏

「SUPER SOX」の販売戦略を練る岡本のマーケティング担当 青柳一輝氏

15年間で累計1100万足以上を販売したヒット商品の靴下がレッグウエアメーカー、岡本の「SUPER SOX(スーパーソックス)」だ。消臭効果の高さが最大の売り物で、キャンペーンの一環として開催した、足のにおいが題材の「足クサ川柳」も話題を集めた。品質の高さが買われて、宇宙飛行士用として採用された実績もある。マーケティング担当の青柳一輝氏は「お客様の悩みに正面から向き合った結果がロングセラーにつながった」とみる。

◇  ◇  ◇

「24時間におわない」。靴下売り場に並ぶ「スーパーソックス」のパッケージには、消臭効果が真正面から押し出されている。訴求がストレートで、すがすがしささえ覚えるほどだ。もともと発売当初からの強みだが、2019年3月のリニューアル発売で、さらに磨きを掛けた。

1948年の会社設立から50周年にあたる98年に企画された。世界に通用するレッグウエアを目指して、「ほんまもんの靴下を作れ」と、当事の社長から号令が飛んだ。「当時は中国製の靴下が国内市場に流れ込み、価格競争が厳しくなっていた」という。

しかし、実際に「スーパーソックス」が発売されたのは、それから6年も後の2004年になってから。研究開発にはじっくり時間をかけた。そもそも楽な開発ではなかった。当時から消臭機能をうたったビジネスパーソン向け靴下は市場に存在していたが、効果に難点があった。「大半の商品は何らかの薬剤を加えて、一時的な消臭効果を得るタイプ。洗濯を重ねるうちに効果が徐々に落ちてしまう欠点を抱えていた」(青柳氏)

「ほんまもんの靴下」が徐々に頼りなくなっていくわけにはいかない。消臭機能が長続きする方法を探る研究が続いた。チームがたどり着いた結論は「薬剤の後付けではだめ。繊維そのものににおいの原因となる蒸れを抑える機能が必要」だった。たくさんの素材を試した末に選ばれたのは、紳士スーツでおなじみのウール(羊毛)。だが、ビジネスパーソン向け靴下としては未踏の素材だった。

昭和のウールセーターは「チクチクする」と言われて、子供に嫌われがちだった。毛玉ができやすいのも、ウールの弱み。セーターよりずっと摩擦の頻度が高い靴下では、毛玉問題はもっと深刻だ。洗濯を重ねると縮みやすい性質や、靴下に求められる強度の面も改良が必要だった。ウールの靴下が当時、あまり見当たらなかったのは、これらの課題を抱えていたからだ。

だが、「天然由来のウールは、自然な吸湿・放湿性を持っていて、においの原因になる汗を放出してくれる」(青柳氏)。繊維そのものが持つ特性だから、繰り返し洗っても効き目が鈍る心配はない。ウールの持ち味に懸けると決まった。それからは「チクチクする」「洗うと縮む」「毛玉ができる」などの課題を一つずつつぶしていくという、地道な取り組みが続いた。プロジェクトチームはウールの持ち味を掘り下げる一方で、素材の改良法を練った。

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