農業の未来、データから考える ジャーナリストの視点農業ジャーナリスト 窪田新之助氏

データと技術の
戦略的な活用が切り開く
日本の農業の新時代

――農業ジャーナリストの窪田新之助さんの最新刊は『データ農業が日本を救う』。農地集積の遅れや生産性・収益性の低さといった、日本の農業が直面する課題を解決するためのデータ活用の重要性について、様々な角度から取材・検証を重ねています。

データは今や、様々な産業で新たな価値やサービスを生み出すようになりました。農業界も例外ではないのですが、日本の農業におけるデータの活用は欧米先進国に比べるとかなり遅れていて、多くの農家では依然として経験と勘に頼った生産が続いています。

一方で、日本には農業従事者の高齢化という、避けては通れない問題があります。農家の実質的な定年は70歳といわれますが、日本の農家の平均年齢は2015年時点で既に66.4歳。これから数年以内に大量離農が起きることが確実視されています。

離農で放出された土地を残る農家が引き受け、闇雲に人や設備への投資を加速すれば、経営破綻が相次ぐことにもなりかねません。こうした事態を防ぐためにも、一刻も早くデータ活用による生産性向上や作業の効率化を実現する必要があると考えています。

――具体的にはどんなデータを活用すべきなのでしょうか。

農業の生産で重要とされるデータには環境、管理、生体の3つがあるといわれています。まずはこれらのデータを確実に収集すること。次に、そのデータを専門的な知識を持つ人や組織が解析して、生産現場の生産性向上に生かす仕組みが必要です。

――国は「2025年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践する」という目標を掲げています。

農家の人が皆データを扱える必要はないと思いますが、普段の農作業を通じて自然にデータを提供できる仕組みをつくるべきだと思っています。例えばトラクターにセンサーを取り付け、作物の状態をデータとして把握してクラウドに集積したり、収穫物を運搬ロボットで運ぶと収穫量をデータ化できたり。こうしたロボットの活用は国内の生産現場でも一部で進んでいますが、普及はこれからです。

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