背筋を伸ばしたいとき、相手に敬意を表したいとき、スーツは最大の武器になる。それは、会社に勤めるビジネスマンだけではない。今回は、竹・酒・音を通じて表現する方たちに「スーツを着ること」の魅力を語っていただいた。
Shingo GOKAN × CIRCOLO 1901
The SG Club バーテンダー × チルコロ 1901のセットアップ
Profile
後閑 信吾さん(37)
国内で経験を積み、NYへ。2012年には、バカルディ レガシー グローバル カクテル コンペティションで、世界一の座に輝いた。世界で認められるバーテンダーでありつつ、国内外で新たなコンセプトのバーを企画・運営を行うSGグループを率いる。
「バーの魅力、面白さを表現するために身だしなみもまた大切」
バーテンダーの装いと聞いて、どんな姿を思い浮かべるだろうか。白いジャケットにボウタイ、もしくは白シャツにブラックベストといったところか。しかし、カクテルコンペティションで世界一に輝いた後閑さんがその身に纏うのは、味の出たRRLのベストだ。
「バーテンダーにとって服装は、いわば衣装であると考えています。大切なのは、店のコンセプトに合っているかどうか。バーはただお酒を飲む場ではなく、空間とそこに漂う空気感も楽しむ場です。その演出において必要ならば白ジャケットを着ますが、僕の店においてはそうではないということです」
カウンターに立つ時は、基本的にシャツとベストを着用。シーンやお客によっては、ジャケットやスーツを着用することも。
「コンセプトを徹底しつつ、やはりTPOも大切。このグレーのセットアップは、この店の内装とよくマッチすると思います」
長らくニューヨークに住んでいた後閑さんは、バーテンダーの装いへの意識において、日本と海外で違いを感じるという。
「日本の場合、ユニフォームと捉えていらっしゃる方が多いように思います。世界中からバーテンダーが集うコンペティションやセレモニーでは、民族衣装などアイデンティティを示す服を着る方も多いです。本来、バーは多様なものです。そしてバーテンダーの装いに対するイメージも、一様ではありません。その認識が、ここ日本でもそろそろ広まりつつある気がします。それにしてもこのジャケット、動きやすくていいですね」
確固たる世界観をもちつつ、柔軟性も備える。次世代の表現者は、この両立に未来を見出す。
イタリアンブランドはあまり着たことがないそうだが、今回のジャージーセットアップの柔らかな着心地に、随分と驚いた様子。高い伸縮性とは裏腹に、シックなメランジグレーは自前のRRLのショールカラーベストが醸し出すヴィンテージな世界観と合う。