値下がりしてもメリット 積立投資はほったらかしOK

2020/12/22

自分年金づくりのような長期の資産運用のために設けられている制度が「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」「企業型確定拠出年金」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」。この3つに共通するのは、“投資信託”の“積立投資”をする仕組みであることです。

なぜ投資信託なのかは前回「預貯金じゃだめ? 自分年金づくりに投資信託のワケ」で説明したように、多く株や債券に分散投資することで値動きが抑えられているから。ではなぜ“積立”投資なのでしょうか。

投資信託は少額で積立購入ができる

資産運用はまとまったお金がないとできないと思っている人が多いのですが、投資信託は少額でも投資できるのが特徴です。積立の場合、少ない金額でもコツコツ積み立てていくことによって、資産をだんだんに増やせるので、現役世代が資産づくりをするのに適しています。

投資信託が最低いくらから買えるかは金融機関や商品によって異なりますが、高くても1万円で、たいていは5000円、1000円など。

積立購入だと、確定拠出年金は5000円以上1000円単位。つみたてNISAは金融機関によって1万円、5000円、1000円など。中には毎月100円から積み立てられる金融機関もあります。

購入単位が小さければ、毎月の積立額を細かく決められます。例えば、「毎月1万円積み立てるのは難しいけど8000円ならできそう」とか「少し余裕があるから1万2000円積み立てよう」といった具合です。もちろん途中で積立額を変更することも可能。長い人生のその時々の事情に合わせて積立額を設定すれば、ムリなく積立を続けられます。

値下がりもメリットになる

投資信託は価格が変動しますが、積立投資では値下がりもメリットになるのが大きな特徴です。

投資信託の個別の商品である“ファンド”は1万口当たり1万円で運用をスタートすることがほとんどで、運用開始後はファンドが保有している株や債券の価格の変動によって、1万口数当たりの価格が毎日変動します。それがそのファンドの時価である「基準価額」で、投資信託は基準価額で売買します。

投資信託の買い方には、「〇〇ファンドを〇〇口買う」というふうに口数指定で買う方法と、「〇〇ファンドを〇〇円で買える口数買う」というふうに金額指定で買う方法があります。

積立投資は、同じファンドを毎月同じ金額で買える口数だけ自動的に買っていく仕組みです。なので、基準価額が高いときは買える口数が少なく、基準価額が低いときは多くの口数を買えることになります。例えば、リンゴを毎月1000円分買うとします。ある月にリンゴ1個の値段が200円だと5個買え、翌月は1個100円だと買えるのは10個。それと同じですね。

積立投資をしているファンドの価格が下がると買える口数が多くなり、トータルの保有口数が増えます。保有口数が多ければ、ファンドの価格が上がったときの資産の増え方も大きくなります。

自分の保有している金融商品が値上がりするということは、資産が増えることですからうれしいですよね。

一方、値下がりすると資産が減るのでうれしくありません。でも、投資信託の積立投資だと、値下がりしたときにたくさんの口数が買えてうれしい。投資信託の積立は「値上がりしたらハッピー、値下がりしてもハッピー」なのです。

値動きに左右されない

投資信託のように価格が上がったり下がったりするものを買うとき、誰もが「できるだけ安いときに買いたい」と思います。でも「今が買い時!」というベストなタイミングをとらえるのは至難のワザ。「今日買おうかな、でも明日はもっと安くなるかもしれない」なんて思っていると、いつまでたっても買えないということにもなってしまいます。

その点、積立投資なら、毎月決まった日に決まった金額で自動的に投資信託を買っていくので、値動きを見ながら買うタイミングを計る必要がありません。

積立投資を始めた直後は、購入したファンドの基準価額が気になるかもしれません。値上がりすると喜び、値下がりするとがっかりするということになりがちですが、積立を続けていると値動きはきっと気にならなくなるはず。それは基準価額をしょっちゅうチェックするのが面倒くさくなるから。そして、目先の基準価額を気にする必要がないことがわかってくるから。

スタートするときに少し手間がかかりますが、始めてしまえば、あとはよい意味で「ほったらかし」にできるのが積立投資なのです。

少額からコツコツと資産を作ることができ、値下がりもメリットになり、値動きを気にせず続けられる――それが、投資信託の積立投資が長期的な資産作りに適している理由です。

とはいえ、投資信託の積立も万能とはいえません。積み立てているファンドの値下がりが続けば資産が減ってしまうこともありえます。それに対処するポイントが「長期」。次回は長期投資について見ていきます。

馬養 雅子(まがい・まさこ)
オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャルプランニング技能士。千葉大卒。法律雑誌編集部勤務、フリー編集者を経て、ファイナンシャルプランナーとして記事執筆、講演などを手掛けてきた。著書に「だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方」(ナツメ社)など。http://www.m-magai.net
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