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無印良品の生理用ナプキン 不満解消したシンプルな箱

2021/1/6

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無印良品の生理用ナプキン/羽あり(約21センチメートル)。10個入りが399円(税込み、以下同)、2個入りが190円
日経クロストレンド

無印良品を展開する良品計画は、2020年10月、生理用ナプキンを発売した。10月7日に一部の店舗で販売を開始し、16日には公式オンラインストアでも取り扱いを始めた。無印良品らしいシンプルなパッケージは、カラフルなパッケージ一色だった生理用ナプキン市場に一石を投じ、大反響となった。

発売直後からSNS(交流サイト)を中心に大きな反響を呼んでおり、「レジへ持って行くときの気持ちが全然違う」「男性に買ってきてと頼みやすくなる」と歓迎する声が数多く投稿されている。

「これほど大きな反響があるとは、発売前には予想もしていなかった」と、良品計画生活雑貨部雑貨担当ハウスウェア・H&B・ステー担当の中野倫弥氏は言う。開発がスタートしたのは2019年の秋ごろ。もともと無印良品では、日用品の品ぞろえを強化していこうという大きな流れがあり、今まで無印良品で取り扱ったことのない商品カテゴリーを取りそろえようというのが開発の原点だった。

家の棚に置いておけるデザイン

開発を進めていくなかで、「従来の生理用ナプキンのキラキラしたデザインが嫌だ」といった声があることも分かってきたが、無印良品がデザインする以上、そのようなキラキラしたデザインにはならないのは当然だ。むしろ重視したのは、家に置くとき袋から出して詰め替えるといった手間を省くためのデザインだった。シンプルな紙箱を採用することで、店で買って袋に入れなくてもそのまま持ち帰ることができ、家では開封したものをそのまま棚に置いておけるのが大きなメリットだ。

中身のナプキン自体は、肌に触れる面にオーガニックコットンを使用し、かぶれやかゆみの原因を極力少なくし、個包装もプラスチックではなく紙を使用するなど、無印良品というブランドにふさわしいものになっている。新たに開発したものではなく、すでにメーカーのラインアップにある商品のOEM(相手先ブランドによる生産)だが、メーカーや商品を選択する際にそうした配慮のある製品を選んだ。

いずれの商品も肌に触れる面にオーガニックコットンを使用し、かぶれやかゆみの原因を極力少なくし、個包装もプラスチックではなく紙を使用

カラフルだけではない選択肢が広がる

「シンプルなパッケージだけに難しかった点は、羽ありと羽なしの2種類の商品の識別をどうするかということ。最低限、文字だけでも識別はできるけれども、絵柄を入れたほうが分かりやすいのではないかとか、デザイン面でいろいろと検討した」と中野氏は言う。

無印良品の生理用ナプキン/羽なし(約23センチメートル)。12個入りが399円、2個入りが190円

最終的には、「他社のように多くの商品ラインアップがあるわけでもないので、識別のためにそれほど派手に違いを見せるよりも、家に置いても気にならないシンプルなデザインを優先させた」(中野氏)。10個入り、12個入りのパッケージは、お菓子の箱のように蓋が大きく開いて取り出しやすく、使い終わったら閉じておける。棚に置いて使うときに便利な工夫もされている。

10個入り、12個入りは据え置きで使うことを想定。大きく開く蓋は、使わないときは閉じておくことができる。2個入りは携帯用を想定

「発売後の予想外の反響を見て、私たちが思っていた以上に、従来の生理用ナプキンのパッケージデザインに対する不満を持っている人が多かったということが印象的だった」(中野氏)。生理用ナプキン市場において、無印良品のシェアはごく微々たるものだ。「キラキラしたデザインが好きな人だってたくさんいると思う。それを否定するわけではないし、『選択肢を増やしてくれた』と言ってもらえたのが一番うれしかった」と中野氏は言う。無印良品では今後も、大人用おむつなど、衛生用品のラインアップを強化していく方針だ。

(デザインジャーナリスト 笹田克彦、写真提供 良品計画)

[日経クロストレンド 2020年12月09日の記事を再構成]

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