今年ほど誰もが家族の健康に気を配った年は無かったと思う。
うちの場合、両親は八十代後半になっているから、高血圧、腰痛なども当たり前にあるわけだが、近所の温泉に通うなどして、それなりに体調のやりくりを続けてこられた。私が週末には同居する田舎の家に帰っていたので、本人たちでは気づきにくい顔色の変化とか、足の運びとか、耳の聞こえ具合などということも観察できた。
今日は元気が無いなと思えば、娘だからあまり深刻にもならずに「今朝はちょいと老けて見えるね」などと憎まれ口をたたいてみせることもできたわけだが。
コロナ禍になって、全てが変わった。
無症状でも感染させる可能性があるとわかった時点で家に帰るのをやめた。温泉もお休み。それは12月になった今も続いている。
両親ともにメールはできないので、今思えばできるようにしておけば良かったと反省しながら、健康状態の確認は電話でしている。これが、らちがあかない。高齢の両親は耳が聞こえ辛くなっているため、一生懸命に電話で話すうちに、いつもドリフのコントみたいになってしまう。
「熱は出てない?」と私。
「あー?」と父。
「宅配の荷物を受け取った時も手を洗ってよ」と私。
「あー?お母さん、ちょっと変わってくれー」と父。
「荷物?まだ届いてないよ。なま物かい?」と母。
要点が伝わらない親との会話って、ほんと疲れますわ。