ボランティアで長生き? 死亡リスク4割減、心も健康

週に2時間程度のボランティア活動をする人は、死亡リスクが低く、心の健康状態も良いことが分かりました。(C)Wavebreak Media Ltd-123RF
週に2時間程度のボランティア活動をする人は、死亡リスクが低く、心の健康状態も良いことが分かりました。(C)Wavebreak Media Ltd-123RF
日経Gooday(グッデイ)

年間100時間以上、1週間当たりにすると2時間程度のボランティア活動に従事する人は、ボランティア活動と縁のない人たちと比べて死亡リスクが4割程度低いことを示す研究結果が報告されました。ボランティア活動の利益は、身体障害を負うリスクの低下や、心の健康状態の向上にも及ぶことも示唆されました。

ボランティア活動は本当に心身の健康に好ましい影響を及ぼす?

これまでにも、ボランティア活動が、健康状態や幸福感などに好ましい影響を及ぼすことを示した報告はありましたが、そうした利益を否定する研究結果もありました。今回、米ハーバード公衆衛生大学院などの研究者たちは、大規模疫学研究「Health and Retirement Study」に参加した50歳超の1万2998人の情報を分析し、ボランティア活動に携わる時間と、身体および心の健康状態や、健康にかかわる生活習慣などの関係を明らかにしようと考えました。

参加者たちに過去12カ月間にボランティア活動に費やした時間を質問し、回答に基づいて「0時間」、「1~49時間」、「50~99時間」、「100時間以上」に分類しました。

続いて、ボランティア活動時間と関係する可能性のある、34の健康関連項目(下記参照)について評価しました。

分析においては、年齢、性別、人種、パートナーの有無、世帯年収、資産、学歴、雇用状況、健康保険加入の有無、居住地域、宗教団体の集会への参加、個性(寛大、良心的、外交的、神経質など)、小児期の虐待の有無などを考慮しました。

ボランティア活動をしている人は死亡リスクが低く、ポジティブ

4年の追跡期間中、ボランティア活動を年間に100時間以上行っていた人々は、ボランティア活動を全く行っていなかった人々と比べて死亡リスクと身体障害のリスクが低く、身体活動レベルは高く、心の健康状態も良好(ポジティブ感情が強く、楽観的で、生きがいを感じており、抑うつ症状、絶望感、孤独感は少なく、友人とのコミュニケーションも充実している)であることが明らかになりました(表1)。

表1 ボランティア活動と、心と体の健康の関係

(Am J Prev Med. 2020 Aug;59(2):176-186.)

一方で、これら以外の23項目については、ボランティア活動(年間100時間以上)との間に有意な関係は認められませんでした。

著者らは、「高齢化が進む社会において、広範なスキルと経験を有する高齢者によるボランティア活動は、社会に利益をもたらすとともに、本人の健康の維持にも役立つことが示された」と述べています。

論文は、American Journal of Preventive Medicine誌2020年8月1日号に掲載されています[注1]

[注1]Kim ES, et al. Am J Prev Med. 2020 Aug;59(2):176-186.

[日経Gooday2020年10月7日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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