
「自然界の風を再現する扇風機」をうたう「The GreenFan(ザ・グリーンファン)」や、スチームを使って外はカリッと中はもっちりしたトーストを焼き上げる「BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」など、斬新でおしゃれな家電を次々に生み出す家電メーカー、バルミューダ。「次はどんな家電を出してくるだろう」と多くのファンが待ちわびるなか、コードレススティック掃除機「BALMUDA The Cleaner(バルミューダ ザ・クリーナー)」を11月に発売した。同社初となる掃除機には、どんなバルミューダらしさが詰まっているのか、使用感をレビューする。
「ホバーテクノロジー」が生み出す浮遊感


BALMUDA The Cleanerは、いわゆるコードレススティック掃除機とはまず見た目が違う。白一色(または黒一色)に統一されたスマートなデザインは、シートを付けて床を拭き掃除するフロアワイパーのようだ。まさに同社が目指したのが「フロアワイパーのような自由自在な掃除機」。生活空間に自然になじむデザイン、前後左右斜めと自在に動く操作性など、既存のコードレススティック掃除機にはない使い勝手を備えている。
「家電っぽさ」を排除した本体に、操作ボタンはたった1つ。それも使用している人だけが見える、スティックの上面だ。1度押すと標準モード、長押しすると強モードに切り替わる。

ボタンを押すと同時にブラシが回転し、軽く押しただけでスーッとヘッドが動き始めた。回転ブラシを搭載した掃除機には、力強く前に進むことで「軽い力で掃除できる」点をアピールする製品が多い。だが、BALMUDA The Cleanerはその感覚とは全く違う。滑るような、浮いているような、今まで体験したことのない不思議な感覚だ。この浮遊感を生み出しているのが、水上を走るホーバークラフトにヒントを得て開発された「ホバーテクノロジー」だ。
どのような仕組みなのか。BALMUDA The Cleanerのヘッドは、一般的な掃除機に比べてだいぶ大きい。裏面には一般的な掃除機では珍しい、2本のブラシが装着されていた。そのブラシがそれぞれ内側に回転することで、床面との摩擦を低減し、独特の浮遊感を生み出しているのだ。

ヘッドが360度回転するのもユニークだ。広い床面を掃除するときはヘッドを横向きにして前後に動かして使うが、壁際を掃除するときは、手首をくいっとひねればヘッドがタテ向きになり、家具のすき間にもすんなり入り込める。まさにフロアワイパーさながらの快適さだ。ヘッドのジョイント部に採用された独自の「ユニバーサルジョイント」が、この操作性を可能にしている。

実はもう1つ、あるものから着想を得て採用されたパーツがある。プラモデルで知られるタミヤ(静岡市)の「ミニ四駆」をヒントに、ヘッドの四隅に搭載した角ローラーだ。ミニ四駆にはコースとの摩擦を減らし、コーナーをスムーズに曲がれるよう車体にローラーが取り付けられている。この仕組みが、ヘッドの動きをサポートする鍵となった。狙い通り、壁際の掃除はとにかくスムーズ。床や壁に接地している感覚がないまま、ヘッドがスーッと滑っていくようだ。