「おまけ技術者」からCEO 創業者が見初めた人間力小林泰平・サンアスタリスクCEO(下)

サンアスタリスク創業者の平井誠人さん(左)と現CEOの小林泰平さん
サンアスタリスク創業者の平井誠人さん(左)と現CEOの小林泰平さん

2020年7月に東証マザーズに上場した企業向けソフト開発のSun Asterisk(サンアスタリスク)の小林泰平・最高経営責任者(CEO、37)。高校中退後にホームレス生活も経験したが、ITエンジニアに転身した。同社創業者の平井誠人さんに誘われ、ベトナムでエンジニアの開発集団を育て上げた。CEOに就任、東証マザーズ上場を果たした。

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警備員が入室拒否

「ダメだよ、そんなルフィみたいな格好は」。当時、ある上場企業でソーシャルゲーム開発事業の立ち上げ責任者だった平井さんは思わず苦笑いした。目の前に立っていたのは茶パツにアロハシャツ、半ズボンにサンダルを履き、少年漫画「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公モンキー・D・ルフィのような格好をした小林さんだった。

平井さんは外部のIT企業から派遣された約50人のエンジニアを使い、開発を指揮していた。その一人として派遣されてきたのが小林さんだった。会社が入居していたビルの警備員から「格好がおかしい」と止められ、責任者だった平井さんが玄関のロビーに呼び出されたのだ。

実は小林さんは「おまけのエンジニアだった」と平井さんは明かす。まだ見習いだったため、IT企業からは「無料でいいので、使ってほしい」と派遣されてきた。ラフな格好のエンジニアは少なくないが、「それにしても変わった兄ちゃんだな」というのが平井さんの第一印象だ。しかし、その印象は大きく変わる。未経験のエンジニアだったが、人一倍仕事熱心で責任感が強かった。システム開発では様々なバグ(不具合)が発生するが、いつも素早く対応していた。

「面白くてすごい兄ちゃん」に

地方の漁業や農業の支援をライフワークにしている平井さんは、システム開発の合宿をしながら、漁業体験をしてみないかと小林さんら開発メンバー15人に呼びかけた。石川県の能登地方にある漁師の作業場を訪ねた。カキ養殖の準備のため、100メートルほどの針金を15センチ程度に細かく切断する作業を頼まれた。根気のいるつらい作業で、大半のメンバーは音を上げた。しかし、小林さんだけは楽しそうに作業をこなした。しかも様々な工夫を考え、生産性を上げた。

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