「ahamo」の影響本格化 2021年の料金引き下げを予測佐野正弘のモバイル最前線

かねて携帯電話料金引き下げを訴えてきた菅義偉氏が首相となり、各携帯事業者にはこれまでとは比較にならないほど強い料金引き下げの圧力がかけられた2020年。年末にはNTTドコモがシンプルで低価格、かつ大容量の「ahamo(アハモ)」を発表して大きなインパクトを与えた。それを踏まえて21年の携帯電話料金を巡る動きはどうなるのかを予測してみたい。

インパクト絶大のアハモが競争の軸に

2020年12月3日にNTTドコモが発表した新料金プラン「ahamo(アハモ)」。20GBの高速データ通信が月額2980円で使えるという安さは大きな衝撃を与えた

18年、当時官房長官だった菅氏が「携帯電話料金は4割引き下げる余地がある」と発言して以降、携帯電話料金の動向は毎年大きな注目を浴びてきた。菅氏が20年9月に首相に就任して以降、その動きは急加速する。

菅氏、そして菅氏から料金引き下げの命を受けた武田良太総務相は、市場が寡占化しており料金高止まりの原因になっていると名指ししたNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社に、これまで以上に強い圧力をかけた。その結果、3社は料金引き下げに向けた具体的な施策をいくつか打ち出した。

中でも注目を集めたのは、NTTドコモが20年12月3日に発表した新料金プラン「アハモ」だ。アハモは契約やサポートをオンラインだけに絞り、ドコモショップでのサポートはしない。その代わりに複雑な割引の仕組みを一切なくし、月額2980円(税別、以下同)で20ギガバイト(ギガは10億、GB)の大容量通信を利用できるコストパフォーマンスの高さを前面に押し出した。

NTTドコモは続けて20年12月18日にも、既存料金プランを見直した新プラン「5Gギガホプレミア」「ギガホプレミア」を発表した。こちらには料金の値引きやデータ通信量の増量、分かりにくさを生む期間限定の割引キャンペーンなどの廃止を盛り込んだ。しかし、家族契約や固定回線の契約に応じて割引がなされる仕組み従来のままで、アハモほどのインパクトがあるわけではない。

今後各社の料金競争の軸はアハモになりそうだ。アハモが実際に提供されるのは21年3月から。21年はNTTドコモが打ち出した料金プランを軸に、各社がどのような対応を取るかが料金競争の大きな争点となるだろう。

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「屈辱」のKDDIはどう対抗するのか