2020/12/23

社員の専業禁止? その狙いは

今回は、専門家のマッチングサービスなどを手掛けるエンファクトリー(東京・渋谷)の加藤健太社長にインタビューしました。同社は「専業禁止」を会社の人材理念に掲げています。その背景とこれからのキャリア形成の仕方について聞きました。

◇  ◇  ◇

――なぜ「専業禁止」なのでしょうか。

今回のコロナでも直面しましたが、大企業でも倒産することがあります。一つの組織にキャリアを預けることは、そもそもリスクなんです。キャリアも人生も思い通りにいかないことがあります。うまくいかないことも理解した上で、日ごろから自ら複線的なキャリア形成をしておくことは、これからを生き抜くセーフティーネットでもあります。私たちが「専業禁止」で成し遂げたいのは、社員自らが主体的なキャリア形成を通じて、「生きる力」を育てていくことです。

――本当に禁止なのですか。実際、どんな複業をしているのでしょうか。

もちろん、会社の中でも、「生きる力」を身に付けていくことは可能です。ですので、「専業禁止」といっても、専業で働く社員もいます。勤務しながら社外で活躍場所を見つけ、複業をしてパラレルにキャリアを形成している社員もいます。実際、エンファクトリーでは6割程度の社員が複業を実践中です。

具体的には、飼っているパグをきっかけに、パグの洋服を作って販売しているメンバーやマーケティング支援、Webデザイン制作などスキルを武器に複業をしているメンバーがいます。

気付きや学びをみんなで蓄積

――会社としては困りませんか。

新入社員も含めて、複業をするにあたって禁止事項はありませんが、唯一のルールがあります。それは複業内容をオープンにすることです。社内システム上で毎月活動内容を共有したり、半年に1回の「en Terminal」(エンターミナル)という複業共有会で誰が、どんな複業をしていて、どんな気付きや学びがあるのか、シェアしたりしています。

年齢・年次関係なく、パラレルワークをすることで、社員の自立意識が高まり、日常業務の生産性向上はもちろん、自発的な勉強会の実施など社内活動においても主体的な取り組みが増えています。大切なことは、自ら考え、生き方や働き方をデザインしていくことです。

「お金のリテラシーは必須」と語る加藤社長

――「生き方や働き方をデザインする」コツやおすすめの実践方法を教えてください。

大事なのは、心の持ちようです。人類の歴史からみると、私たち一人ひとりの人生は、ほんの一部の時間に過ぎません。これまで蓄積してきた経験に縛られることなく、新しいことに挑戦してみる。誰かの影響を受けた憧れの人の人生ではなくて、自分の人生を生きるのが理想です。