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バンドの熱狂的なファンである2人のマーケティング専門家がつくったこだわりの1冊

バンドの熱狂的なファンである2人のマーケティング専門家がつくったこだわりの1冊

日本ではビートルズやローリング・ストーンズほどの知名度がないものの、米国で高い人気を誇る1960年代生まれのバンド「グレイトフル・デッド」。今回紹介する『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(渡辺由佳里訳)は、音楽業界の常識にとらわれない彼らのプロモーション手法が成功した理由を分析している。ネットのない時代から「フリー」「シェア」「ソーシャル」に通じる発想を持っていた彼らのやり方を知ることで、先の読めない「VUCA(ブーカ=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)」時代にいかせるマーケティングセンスを学んでいただきたい。

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ブライアン・ハリガン氏

ブライアン・ハリガン氏

この本は、バンドの熱狂的なファンである2人のマーケティング専門家がつくりました。ブライアン・ハリガン氏はソフトウエア会社HubSpot(ハブスポット)の最高経営責任者(CEO)兼共同創業者です。同社は、成長過程にある企業が顧客をひき付けて信頼関係を築き、満足させる「インバウンド手法」の実践を支援しています。マサチューセッツ工科大学の上級講師も務め、余暇には愛する米大リーグのレッドソックスを追いかけて、テニスを楽しみギターの練習に励んでいます。グレイトフル・デッドのライブ演奏は100回以上見ているそうです。

デイヴィッド・ミーアマン・スコット氏

デイヴィッド・ミーアマン・スコット氏

デイヴィッド・ミーアマン・スコット氏はマーケティングとPRのストラテジスト。何百人から何千人もの聴衆の前でスピーチをするプロの講演者です。数多い著作のうちThe New Rules of Marketing and PR(初版の邦訳版は『マーケティングとPRの実践ネット戦略』)は、大学や企業で教科書として使われているロングセラーです。趣味はサーフィンで、アポロ月面着陸計画関連品の収集家としては自宅にミニ博物館をつくるほど極めています。これまで足を運んだグレイトフル・デッドのコンサート75回すべてをエクセルで記録している、正真正銘のオタクです。

糸井重里氏がほれ込んだ

2010年に出版された原著「Marketing Lessons from the GRATEFUL DEAD」は2011年に邦訳が出ました。「この本を日本語で出そう」と言い出したのは、「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)の糸井重里氏です。

グレイトフル・デッドは1960年代に米国の西海岸サンフランシスコで生まれたバンドです。「ビートルズやローリング・ストーンズなんかとおんなじくらい歴史がある。でも、日本人の大半はおそらくグレイトフル・デッドを知りません。ヒット曲もないし、ジョン・レノンやポール・マッカートニーやミック・ジャガーやキース・リチャーズみたいなスターも在籍していない。そんなバンドなのですが、アメリカでとっても人気があったのです。そして、なんと、その人気は、結成から半世紀も経った今もあるんですね」。こう糸井氏は解説しています。

ヒッピー文化を体現したこのロックバンドは、インターネットが登場するはるか以前から「フリー」や「シェア」「ソーシャル」につながる行動を実践していました。「ライブの録音はOK」「音楽は無料で聴き放題」「ブランド管理は緩く」……。そのプロモーション手法は、ことごとく音楽業界のおきてを破るものでした。それは彼らが、世間の常識にとらわれないかたちで目標を設定していたからです。一般のミュージシャンはレコードアルバムが主な収入源だったので、アルバムを売るためにツアーを行いました。また、著作権を厳格に運用していました。一方、グレイトフル・デッドは、ライブで稼ぐビジネスモデルを作りだしたのです。

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