日経クロストレンド

土合駅といえば、地下深くまで続くこの階段。ここに来るまでの連絡通路で24段、写真の階段が462段、合わせて486段を下りたところに下り線のホームがある
これが下り線ホーム。電気のついた部屋が待合室。その隣の部屋ではクラフトビールを貯蔵、熟成させ、「モグラ熟成ビール」を開発するとのこと

地域のアクティビティーと連携した観光施策

この土合駅を皮切りに、JR東日本スタートアップとVILLAGE INC.は無人駅をベースとしたレジャー施設開発を続けていく予定だ。第2弾以降について橋村社長は「土合駅のような特色のある駅のほうがやりやすいのは確かだが、最終的にはそのエリアにどれだけの『熱量』があるかを重視している」と話す。

ここでいう「熱量」とは、地元の人たちによる地域を活性化しようという動きのこと。DOAI VILLAGEでも夏はラフティング、冬はスノーシューイングと、既存の地元アクティビティーと連携した観光振興を予定している。

テントサイトなどを併設する予定はあるかという問いに対し、橋村社長は「考えていないわけではないが、みなかみエリアにはキャンプ場などが既に存在する。そうしたところとともに“オールみなかみ”として地域を盛り上げていきたい」と語った。

VILLAGE INC.がすべてお膳立てをするのではなく、地元の人たちが地域の魅力を掘り起こし、発信しようとするその動きと連動する。これが同社のやり方であり、その熱量があるなら、土合駅のような特色のある駅でなくても開発の候補地になるというわけだ。

「みなかみエリアを盛り上げていきたい」という思いはDOAI VILLAGEを通底している。DOAI VILLAGEに先だって20年8月8日には駅舎内の駅務室を改装した喫茶「mogura(モグラ)」をオープンしており、こちらは宿泊客でなくても利用できる。土合駅を訪れた観光客やDOAI VILLAGEの利用者、そして地元の住民との交流の場になってほしいと橋村社長や柴田社長は期待する。

採算ラインは稼働率5~6割

DOAI VILLAGEの宿泊料金は1泊2食、アルコールを含むフリードリンク付きで1人2万5000円(税別)。食事は材料提供にとどめ、煮たり焼いたりなどの調理は宿泊者に委ねる。

日本のグランピング施設では調理済みの食事を提供するところもあるが、DOAI VILLAGEではキャンプとしての楽しさをより味わう、グランピング本来の楽しさを重視した。

現在はインスタントハウスが4棟だけだが、21年春の雪解けを待って着工に入り、8棟まで増築することが決まっている。5~6割の稼働率をキープできれば採算は取れるとのこと。

20年夏以降、コロナ禍で「密を避ける」意識がアウトドアブームを加速させている。「無人駅のレジャー施設化」という試みは、一次交通に直結した遊休資産の活用という面で非常にユニークだ。新たな地域振興の形として後続が生まれるか注目したい。

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元の駅務室は喫茶「mogura」として営業中
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