戦争・復興・高度成長…、名前から読み取れる世相

では、新生男児の名前の流行がこれまでどう推移し、現在はどんな状況にあるのかを見てみよう。表は1912年から2020年まで109年間の男児名人気ランキング首位の変遷をまとめたものである。

世相の変化を色濃く反映し、「清」→「勇・勝」→「博・茂(隆)」→「誠(浩・健一)」→「大輔」→「翔太」→「大輝」→「大翔」→「蓮」と大まかに推移してきた流れが読み取れる。

まず大正から昭和初期にかけては「清らかさ」「すがすがしさ」が尊ばれた時代。「清」の人気が最も高い年が長く続いた。その後、軍部の暴走が目立つようになる昭和初期辺りから「勇」「勝」など戦争にかかわる名前が勢いを急速に増す。終戦後は「博」「茂」「隆」など経済復興や生活水準の向上、受験競争などにつながる名前に首位の座をバトンタッチ。日本が高度経済成長や石油危機を経験し、企業戦士、エコノミックアニマル、環境汚染などが話題にのぼるようになると、誠実さや真心をイメージさせる「誠」が全盛期を迎える。

「蓮」時代が閉幕し、次は「蒼」時代か?

その間、現天皇陛下(浩宮さま)のご生誕(1960年2月23日)にあやかった「浩」ブームも到来。80年代以降、名前の流行は「大輔」「翔太」「大輝」「大翔」と変遷しながら、雄大さやロマン、躍動感にあふれた名前が次々と台頭を繰り返す。映画やドラマ、アニメの登場人物、人気著名人らの名前がトレンドになる現象もよく起きるようになった。

では現在の状況は――。「蓮」時代がまだ続くのか、それとも「蒼」などの新時代に移行する端境期に差し掛かっているのか。最終的な結論が出るまでには、もう少し時間がかかりそうだ。

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本当の流行は「読み」で分かる、「表記」とは異なる実像
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