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オフィスに高級コーヒーを コロナだからこそ福利厚生

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新型コロナは会社の風景を変えた。リモートワークで一部の職場では人影がまばらになった。いまだに感染収束の見通しは立たず、オフィスコーヒーサービス(OCS)などコーヒーに絡むBtoBビジネスには逆風が吹く。ところがそうした中でも着々と顧客を開拓する業者がある。目玉商品に据えるのが高品質のスペシャルティコーヒー。職場でのくつろぎの一杯をグレードアップしましょう、という提案は、意外や今の状況下でも確かな手応えがあるという。どんな需要が潜んでいるのだろう。

フルーティーなエチオピア、ほどよい酸味のケニア、深いコクのコロンビア。10月にダイオーズがOCSで提供を始めた3種類のスペシャルティコーヒーのブレンドだ。焙煎(ばいせん)・監修するのは、コーヒーの抽出技術を競う「ワールド・ブリュワーズ・カップ」で2016年、アジア人初の世界チャンピオンとなった粕谷哲さん。自家焙煎カフェのPhilocoffea(千葉県船橋市)を経営し、最近、ファミリーマートのブレンドコーヒーの開発にも携わった。

ダイオーズはこの3種類のコーヒーを、一杯ごとに豆を挽(ひ)いて抽出する全自動マシン「FRANKE(フランケ)」「MIONE(ミオーネ)」の2機種のメニューに加えた。MIONEは1日の消費杯数が50杯未満、FRANKEは同50杯以上の職場向けだ。

両機種はカフェラテやカプチーノも提供できる。より高品質で、多彩なコーヒー系飲料を求める消費者が増えるなか、冷めても味わいが楽しめる高品質のスペシャルティコーヒーが差別化の強力な武器になると踏んでいる。

だが、そもそもの話、コロナ禍で従業員が出社する機会が減っている今、OCSの新規導入やグレードアップを図る企業がどれだけあるのだろうか? 素朴な疑問をダイオーズ社長の大久保真一さんにぶつけてみた。

「コロナの影響で、当社がマシンを提供している顧客へのコーヒー豆の販売額は前年の8割程度の水準です。千代田区など東京都心5区の大企業、とりわけ在宅勤務が多いIT(情報技術)系企業などの落ち込みが目立ちます。でも当社の主要顧客である地方や中堅中小の企業向けの売り上げは戻りつつある」

「一方、OCSのマシン新規導入件数は前年実績を上回る見通しです。最も動きがいいのは物流分野や医療関連施設。コロナ禍で多忙を極める職場に、福利厚生の一貫でやすらぎの一杯を、という需要が拡大しているんです。都心のオフィスでは、新たに設けたカフェテリアに当社のマシンを導入するケースも多い。シェアオフィスのような新しいニーズも出てきています」

ダイオーズのOCSは無料でマシンを設置し、コーヒー豆などの販売で収益をあげるモデルが基本。FRANKEのみ月数万円のレンタル料(メンテナンス代込み)がかかり、粕谷さんの豆は1キロ7500円になる。社員の負担は企業ごとに異なり、無料の場合もあれば1杯100円や150円に設定するケースもある。企業側の導入コストは決して低くはないが、社員にとっては街中のカフェで1杯500円はするスペシャルティが、コンビニコーヒー並みの負担で飲めるので割安感がある。実際にこれら上位機種やスペシャルティの引き合いは好調だ。

「コロナで心が疲弊している今だからこそ、おいしいコーヒーで一息つきたいというニーズが高まっているんです」。そう熱を込めて語る大久保さんの言葉を確かめようと、顧客の1社を訪ねてみた。博報堂グループの広告会社、TBWA\HAKUHODO(東京・港)の本社に設けられた約215平方メートルのカフェラウンジ。大テーブルやソファ、観葉植物をしつらえた木目調のフロアのカウンターにFRANKEのマシンを導入した。

ラウンジが稼働したのは1月末。コロナの感染拡大で一時閉鎖したが、10月に再開し、コーヒーを無料にした。「気分転換だけでなく、ここで仕事をする社員も多いのですが、生産性が上がります。コーヒーは部署を超えて社員がコミュニケーションをとるきっかけになる。その意味でコーヒーは福利厚生でもあり、業務ツールでもあるんです」。ワークスタイルプロデュース部の長谷川幸子さんはこう話す。

11月下旬から期間限定で提供している粕谷さんのスペシャルブレンドが好評だ。「香りがすごくて五感を刺激する」と長谷川さん。同社は今も社員の約8割が在宅勤務だ。「コロナを契機に、会社は仕事をする場というよりも、人に会いに来る場になるのでは」。こんなところで人と人をつなぐコーヒーの効用が生きてくる。

ダイオーズがコロナ禍にあってもOCSで攻勢をかけられるのは、ウオーターサーバーや清掃などオフィスサービスを総合的に手掛ける企業ゆえでもある。最近は空間除菌・消臭機「ナノシードα」のレンタル需要が急伸。その営業部隊がOCSの新規契約も同時に獲得するケースが多い。様々な商材のチャネルが、企業の潜在的なOCS需要を掘り起こしている格好だ。

大久保さんは脱サラ後、2年間欧米で流通業を研修し、1969年に家業の米穀店を継ぐとダイオーズの前身企業を創業。かつて米国で目にしたOCSを77年に日本で初めて事業化した、この分野のパイオニアだ。その大久保さんはOCSの市場開拓余地はまだまだ大きいとみる。「主要顧客の中堅中小、そして大企業へと、こんな時期だからこそ営業をかけていかなきゃ」

スペシャルティの豆を提供する粕谷さんにとってもOCSビジネスに取り組む意義は大きい。

「当社には、あらゆるところにコーヒーを届ける、という理念がある。オフィスも注目していた場所の1つ。ダイオーズのインフラを通じて当社の豆を提供し、日ごろ職場で飲むコーヒーの品質を高められる。これはありがたいですね」

ブレンドの味づくりは、特にオフィス用を意識したものではない。ただ、ブレンドに関しては粕谷さん独特のこだわりがある。それは「おいしすぎないコーヒー」であることだ。

「僕はおいしさが目立ちすぎないように心がけています。仕事をしながら、何気なくすっと飲んで、ふと『あ、これおいしいな』と思えるぐらいのほうが飽きられない。浅煎(い)り、中煎り、中深煎りの3種類があるので、気分に合わせて選んでもらえれば」

オフィスコーヒーを含むBtoB市場に高級コーヒーで攻勢をかける業者はほかにもある。東京・青山と千葉・流山にカフェ「Scrop COFFEE ROASTERS」を展開するマルハンダイニング(東京・江東)だ。

Scropはゲイシャ種を中核とするスペシャルティの専門店。BtoB事業に力を入れ始めたのは3年ほど前で、IT系などの大企業約10社で企業内カフェの設置に携わった実績がある。抽出などの技術を監修するほか、実際にカフェを運営する給食会社に自社の豆を販売。「スペシャルティを配合した自社ブレンドと、小ロットの顧客専用ブレンドを提供するのがウチの特徴です」と第2営業部Scrop運営課長の中嶋太郎さんは話す。

リモートワークの拡大で既存の企業内カフェの売り上げは一時的に減少した。だが優秀な従業員を囲い込む福利厚生の充実の一環として、今もカフェスペースなどの設置を検討する大手企業は少なくないという。中嶋さんは「カフェ導入はオフィスの移転などがきっかけになる。今後もそういう事例は出てくるし、実際にいくつか引き合いがあります」と語る。

BtoB事業のもう一つの柱として今秋から攻勢をかけているのが、スペシャルティを使うドリップバッグの製造受託だ。催事用商品や営業活動のノベルティとして、顧客オリジナルのブレンドを1000個から受注する。顧客は大手企業のほかスポーツチームや個人事業主に及ぶ。

「スペシャルティの高品質なイメージをブランディングに活用したい、という需要が目立つ」。今後、コワーキングスペースやシェアオフィスからの受注にも期待を寄せる。リモートワーク中の息抜き用に、企業がコーヒーバッグを社員に提供する動きも出始めたという。

コロナは働き方をガラリと変え、同時に「仕事」という日常にコーヒーがもたらす効用を再認識させてくれた。閉塞感が漂う今だからこそ、癒やしとやすらぎの上質な1杯を、職場に常備する余裕がほしくなる。

(名出晃)

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