亡き兄の分まで2倍の生き方 追従せず自分で決めるマネックスグループ 松本大社長(下)

マネックスグループ社長 松本大氏
マネックスグループ社長 松本大氏

マネックスグループの松本大社長がネット証券会社マネックスを立ち上げて20年以上がたつ。これまで多くの事業を手がけてきたが、そのぶん挫折もたくさん経験した。キャリアの出発点がトレーダーだったこともあり、「損切り」の大切さを強調するが、そのためには「周りから意見をもらうための体制作りが大事」と話す。さらに「自分の持っている力を使い切る」生き方が大切だと語り、人一倍働くことを自らに課している。

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――これまでで1番大きな失敗は何ですか。

「難しい質問ですね。本音で話すと、株式の売買手数料戦略ですかね。1999年に手数料が完全自由化された時、マネックス証券の手数料は業界最低水準でした。そのかいもあって顧客数は大きく伸びましたが、徐々にライバルのイー・トレード証券(現SBI証券)が手数料を引き下げてきました。顧客数でも急激に追い上げてきたのですが、私は『マネックスのサービスは付加価値があるから大丈夫』と、手数料引き下げの流れには乗らなかったのです。いま思えば、最大の失敗はあのとき波に乗り遅れたことではなかったのです。『あ、間違えた。私も乗る』と、早めにミスを認めて修正しなかったことが失敗だったんです」

「そこから得た教訓は、しっかりと自分を顧みて早めに『損切り』をする、ということです。私もゴールドマン・サックス(GS)の時から、たくさん間違いをしたし、そのたびに部下を集めて潔く自分のミスを認めてきました。トレーディングをしていた時はちゅうちょなく損切りができたのですが、手数料引き下げのときは自分の戦略に固執してしまったんです。そもそも自分が間違えているのではないか、と自問自答する姿勢が甘かったんですね。誰でも間違えることはあります。でも、組織のトップにとって、下や横の立場の人からちゃんとけん制する意見を投げてもらえる体制を作ることが大切です」

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