
こんなフルボディーのスープの相棒役を務め上げるのが、店主が選び抜いた名門『三河屋製麺』(東京)製の平打ち麺。麺肌のモッチリとした感触が唇を介して伝わる、存在感のある一品。トロリと粘度があるスープを絡め取り、懸命に口元へと運び込むそのかいがいしさに、食べ手は一種の「愛着」さえ覚える。
肉厚でジューシーな「豚」、紅しょうがの香りが鮮烈な「紅つくね」など、脇役の布陣の仕上がりも上々。色とりどりの「美味しい」が詰め込まれた宝箱のような1杯といっていい。
「味の微調整など、お客さんの要望には幅広く対応していきたい」と店主。店主と一緒に、自分好みの味を探していくのも楽しい。『ウチデノコヅチ』は、そんな願いにもバッチリ応えてくれそうだ。
西日暮里駅は、都内における交通の要衝だ。JRや東京メトロ、東京都交通局(日暮里・舎人ライナー)の路線が交差し、乗り換えのために同駅を乗降する人も多い。駅を中心に広がる西日暮里エリアは、都内屈指の文教地区としても知られる。日本屈指の進学校で知られる開成中学・高校のお膝元であり、数多くの進学塾や学習塾もひしめく。
本年12月4日、そんな西日暮里の地にオープンしたのが『えどもんど』だ。同店が提供するのは、いわゆる「二郎インスパイア系」と呼ばれるG系ラーメン。
店舗はJR西日暮里駅からは徒歩3分強。日暮里・舎人ライナーの西日暮里駅からなら1分足らずのアクセス良好な場所にある。

店主の猪又穣氏は、きら星のごとく俊英がひしめく東京のラーメン界においても指折りのすご腕職人のひとり。2017年1月に、大門(港区)の地に、煮干しラーメン専門店『中華そばいづる』を立ち上げ、わずか3年あまりで堂々たる実力店のひとつに押し上げた経歴の持ち主だ。
そんな口コミが広まっているのだろう。オープンからまだ日が浅いにもかかわらず、店の前には連日長蛇の列ができる盛況ぶりには驚かされる。
『えどもんど』が提供する麺メニューは、「軌道に乗るまでの間は、メニューを絞り込みたい」との店主の意向で、「ラーメン」とそのバリエーション(豚増し等)のみ。
券売機のボタンに「汁なし担々麺」「汁なし」「限定」の文字が見えるが、これらは今後、段階的に解禁されていくのだろう。
この店の一杯は基本、甘辛い下味が染み込んだ「豚」が1枚載る「ラーメン(豚1枚)」。店主いわく、「スープを構成する肉、骨、香味野菜、醤(しょう)油の風味が口内で一体化し、優麗なハーモニーを奏でる。そんなイメージを目指して作っています」というだけあり、天然素材の持ち味を余すところなく引き出した、骨太かつ重層的な味わいに仕上がっている。