師走に入り、肌寒い日が増えてきた。寒い日にはスタミナが付くガッツリ(G)系ラーメンが無性に食べたくなるものだ。そこで、今回はそんなG系ラーメンを提供する東京都内の新店を2つ厳選して紹介したい。1軒目は経堂の『ウチデノコヅチ』、2軒目は西日暮里の『えどもんど』。味が良いことはもちろん、共に最寄り駅から至近距離というロケーションも有り難い。是非、皆さまも足を運び、心ゆくまで胃袋をラーメンで満たしてもらいたい。
~激戦区・経堂のニューフェース。激ウマG系ラーメンを、欲望の赴くままに堪能!~
都内でも比較的古くから「ラーメン激戦区」として知られる経堂エリア。本年6月11日、そんな経堂エリアの小田急・経堂駅北口改札からわずか100m余りという超好立地に、1軒の新店がオープンした。その店の名は、『ウチデノコヅチ』。
一風変わったこの店名は店主、樋口直樹氏の実家(梨農家)の家紋が打ち出の小槌に由来する。打ち出の小槌をひと振りすると、豚や穀類など欲しいものが出てきた、という逸話になぞらえている。ちなみに、打ち出の小槌とは、七福神の1人、大黒天が持つ法具である。
樋口店主は前職のミュージシャンから、「二郎インスパイア系」の実力店『らーめん陸』の店長を経て、満を持して独立を果たしたG系ラーメン作りの名手。
券売機には、基本メニューである「ラーメン」のほか、「味噌ラーメン」「つけ麺」等のボタンが並ぶが、まず初めに召し上がっていただきたいのは「ラーメン」だ。

待ち時間数分で提供される「ラーメン」は、「一つひとつの骨からすべての味を引き出すことに徹底してこだわった」という樋口店主の言葉に違わず、2種類の豚骨の持ち味が完膚なきまでに引き出されたスープの、類まれな芳醇(ほうじゅん)なコクが何といっても魅力。スープの煮込み時間、煮込む際の火の強さから、煮込む前の仕込みに至るまで、最適解が選択されていることが明確に分かる。
スープが舌先に触れた瞬間、錘(おもり)のように重厚なコクを味蕾(みらい)が感知、その後、ひと息つく間もなく、柔らかな豚のうま味が口の中いっぱいに広がる。塩分、うま味のバランスもすこぶる良好である。ボリューミーなG系ラーメンにおいては珍しい、食べ終わりまで好感度が上昇し続ける1杯。そのクオリティーの高さは、名店と謳(うた)われる修業元に勝るとも劣らぬ仕上がりだ。