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タイと日本、27年前の残念な歴史 おむすびが結び直す

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NIKKEI STYLE

日本の米と外国の米をいっしょににぎっておむすびをつくる国際交流イベント「United Rice Ball(ユナイテッドライスボール)」が、駐日タイ大使公邸(東京都品川区)で開かれた。コロナ禍の中、ZOOMによるオンライン配信で100組以上の参加者が楽しんだ。粘り気のある日本の米と、ぱらぱらで独特の香りのあるタイの米は、どのようなおむすびに結実したのだろうか。

ユナイテッドライスボールは今回で2回目(前回の記事は、「おむすびで国と国を結ぶ 国産とスペイン米混ぜたら…」)。昨年の第1回は日本米とスペイン米だった。元電通の倉成英俊さんと、フードユニット「つむぎや」の金子健一さんと松浦裕さん、お米ライターの柏木智帆さんらが中心になって企画した。

タイ米といえば、1993年の記録的な冷夏で日本が米不足となり、タイから緊急輸入されたものの、日本人にとって食べ慣れない食感や香りから敬遠された「残念な歴史」がある。お米ライターの柏木さんが専門家に聞いたところによれば、当時日本に入ってきたのはタイ米の中でも品質の高いものではなかったことも一因という。タイ米は現在、タイ料理店などで広く親しまれているが、主催者の倉成さんは「日本側から勝手に(あのときのことを)リベンジしたいんですよね」と語った。

イベント当日は、タイと日本の国交樹立133回目の記念日にあたる9月26日。シントン・ラーピセートパン駐日タイ大使が、この日のために公邸を会場として提供した。大使によると、アユタヤ王朝の時代、タイから琉球に米が輸出されて泡盛の原料となったほか、味噌、しょうゆ、せんべいやあられなどにタイ米が使われているという。大使は「タイ米は日本とタイの長い交流を示すものです」と挨拶。泡盛で乾杯し、イベントがスタートした。

昨年の日本米とスペイン米の回は一つの会場に大勢が集まって会食形式で実施された。しかし、今年はコロナ禍。公邸の様子を中継しつつ、ZOOMの画面の前で、それぞれがにぎったおむすびをほおばる形に変えた。大規模なリモート食事会といったおもむきだ。

第2回の開催に先立ち、倉成さんらはクラウドファンディングを利用して、賛同者を募集。目標金額50万円のところ、130人のサポーターから86万6250円が集まった。

福島県産の日本米「里山のつぶ」とタイ米「カオホンマリ」に加え、香りつけにレモングラスとコブミカンの葉の2種類のハーブが同封されたセットが参加者に事前に送付された。

タイ米をおいしく食すには、湯の中で軽く煮る湯取り法という調理法がいい。湯の中にハーブを浮かべて香りづけをする。日本米は普通の炊飯器で炊く。粘り気の強い日本米を多めにし、ぱらぱら感の強いタイ米を包み込むようなイメージで握っておむすびにする。

筆者も、白い塩むすびを口に入れてみた。レモングラスの風味が鼻に抜ける。そして甘い。日本米のほうが割合的に多いため、食べ始めはいつものおむすびの慣れた食感だが、かんでいるうちにタイ米の存在感が感じられるようになってきた。特に、喉越しが日本米だけのおむすびとは異なる。冷めてもおいしい。むしろ、タイ米がブレンドされていると、冷めたほうが香りが際立つ。英語でジャスミンライスと言われるゆえんだ。

大使公邸では、ポーンディ・ラーピセートパン大使夫人が料理人らとつくったおむすびがバナナの葉で編まれた皿の上に並べられた。筆者は取材者として参加し、試食することができた。夫人は「今日は3種類のおむすびを用意しました」と説明した。

1つ目は、日本のアジに見た目が似たタイでは非常にポピュラーなプラートゥーという魚のおむすび。口の中に魚の脂の風味が広がっていく。優しさと懐かしさが込められたような味だ。それもそのはず、タイではご飯にプラートゥーをまぶして、母親が幼い子どもに手で食べさせてあげるものという。離乳食のような存在なのだ。

2つ目は、日本で食べるタイ料理の定番中の定番、グリーンカレーのおむすび。タイにも拠点を持つ日本の食品会社「ヤマモリ」のレトルトグリーンカレーを、おむすびに合うように炒めて水分を飛ばし、具にした。大使夫人は「タイの屋台で食べるような庶民的な味」を目指したという。グリーンカレーを凝縮したものを携帯して食べているかのようで、おなかが膨れるのがうれしい。コンビニエンスストアで販売されていたら人気が出るように思えた。

3つ目は、デザートがわりの甘いおむすび。甘い味付をした魚をふりかけのようにほぐして、おむすびにしてあった。これも、どこかで食べたことのあるような味。舌の記憶をたどっていくと、日本でも人気のあるつくだ煮の田麩(でんぶ)の味にそっくりなことに気づく。日本人大使館員も「でんぶに似てますよね」と同意してくれた。

塩むすびに加え、3つのおむすびを試食してあらためて気付いたのは、日本米とタイ米は、何も工夫しなけえば混ざり合わないということだ。逆に言えば、少しの手間を惜しまないことで、今まで見たことのない新しいおむすびが生まれる。そして一つのおむすびの中に、2つの国に共通する食文化を発見することもできる。

倉成さんは「分断の時代にこそ、このような取り組みは意味があるのではないでしょうか。プロジェクトは5回はやりたい。最後は国連本部で開催したい」と話している。

(桜井陽)

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