■田丸磨音(たまる・まね)
メーカー勤務5年目の27歳。独身。先輩の影響を受けて資産運用に興味を持ち始めたが、投資初心者のため踏み出せないでいる。趣味はヨガ。
■里中藤士(さとなか・とうし)
証券アナリスト、ファイナンシャルプランナー。35歳。最近、男性・女性ともに若い世代から資産運用に関する相談が増えている。趣味は家庭菜園。
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藤士:前回、将来のお金を準備するため、投資を活用することで毎月必要な積立額を少なくできる可能性があるという話をしました。ただ、投資は価格が常に変動するため、始める前にぜひ意識しておきたいことがあります。磨音さんは東日本大震災で株価が下がったとき「投資を怖い」と思った記憶があるとのことでしたね。
磨音:ニュースで見て、もし投資をしていたら自分のお金がみるみる減ってしまっていたのかと怖くなって。なので、投資でいざというときに、どこまで減るのかと思うと不安です。出したお金がゼロになるかも?
藤士:確かに企業それぞれの株式、つまり個別銘柄に投資するのなら、倒産などでゼロになる可能性は皆無ではありません。しかし、株式へ投資するというのでも、投資信託のようにいくつもの企業の株式で運用しているものであればゼロになるのは考えにくいです。
磨音:とりあえず、投信ならば簡単にはゼロにならないと聞いて安心しました。でも「どれくらい下がる可能性があるのか」はまだ、気になります。
藤士:そのためには「リスク」という言葉を意識してもらいたいところです。
磨音:リスクっていうと、「危ない」とか「危険」というときに使いますよね? パラグライダーに挑戦するときとか?
藤士:ただ、投資の世界では「リスク」という言葉、違った意味合いで使います。まず「リスクとは?」を説明するために「リターン」という言葉もおさえておきましょう。リターンは運用で得られる成果をいいますが、誤解が多いので念のため。プラスの運用成果のことを指す人が意外といるのですが、マイナスの運用成果でもリターンといいます。このリターンの範囲を「リスク」といっています。例えば、リターンがプラス20%になることもあれば、マイナス20%になることもあるといった幅をいいます。
磨音:20%……ですか……。