■7位 知恩院(京都市) 370ポイント
権力感じさせる重厚な巨石

浄土宗の総本山。京都・東山にある寺はどこも石段や坂を上って参拝するが、知恩院の石段は「一段一段がしっかりとした重厚な石造り」(山内さん)で険しい。「日本一の規模を誇る三門から続く巨石の石段は技術力だけでなく権力の大きさも感じる」(鵜飼さん)。「男坂」と呼ばれるゆえんだ。「三門と奥に伸びる男坂の石段がシンメトリーで美しい」(山田さん)。三門も石段の上にたたずむ御影堂も国宝で、見どころが多い。全身を使ったダイナミックなつき方が有名な除夜の鐘だが、今年は12月27日の試しつきも大みそかも参拝できない。(1)三門奥の男坂(2)https://www.chion-in.or.jp/

■8位 釈迦院(熊本県) 290ポイント
3333段との闘い 修行そのもの

九州を代表する霊場で「西の比叡」と言われる。釈迦院へと続く高低差600メートル以上、3333段は「日本一の石段」として知られる。石段をつくった美里町では「アタック・ザ・日本一」のイベントも開かれ「自分の足腰との闘いは修行そのもの」(山田さん)。日本らしい里の風景が望める。「国内外の17種類の御影石が使われていて、自然の中で黙々と石段に向き合える」(小塩さん)。「直線的に貫く石段に何か意志を感じる」(Mr.tsubaking)との声も。「階段は新しいが、日本一の階段を作った心意気が素晴らしい」(鵜飼さん)(1)釈迦院御坂遊歩道の登り口(2)https://kumamoto.guide/spots/detail/12143

■9位 愛宕(あたご)神社(東京都) 260ポイント
出世願った故事 都会のオアシス

港区のオフィス街にたたずむオアシス。急勾配の石段は「思わず足がすくむほど」(小塩さん)。馬で駆け上がったという馬術家の故事から「出世の石段」と呼ばれる。標高約26メートルと東京23区の天然の山としては最も高い愛宕山の上に社殿がある。「都会の真ん中とは思えない静けさ」(山内さん)を味わえる。高齢者向けに愛宕山にはエレベーターも設置されている。深い木々に囲まれているが、「階段上から高層ビルが見えるギャップが良い」(三ツ橋さん)。周辺には寺も多い。緑に覆われた都心の急階段は「出世を望まずとも上りたい」(富本さん)。(1)出世の石段(2)https://www.atago-jinja.com/

■10位 両子寺(ふたごじ)(大分県) 210ポイント
仁王像と山岳信仰の息吹

国東(くにさき)半島にある古刹(こさつ)。境内は瀬戸内海国立公園内に位置する。山門に続く石段の両脇には同寺を象徴する高さ約2.5メートルの剛健な「仁王像とゴツゴツとした石段が山岳信仰の息吹を感じさせてくれる」(宮澤さん)。緑色に茂る幻想的な杉木立の中、「石段から生まれたように同じ色味を持った仁王像が迫力満点」(Mr.tsubaking)で、「趣のある石段と仁王像を組み合わせた構図が写真映えする」(加藤さん)。山岳修行の場でもあり、森林浴の森100選にも指定され、「パーフェクトな構図にエネルギーを感じる」(山田さん)。(1)仁王門の石段(2)http://www.futagoji.jp/

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