日経ナショナル ジオグラフィック社

2021/1/4

「私が最も可能性が高いと思うのは、ピューマの遠い祖先が皆同じ色をしていて、その時からずっと色が変わっていないのではないか、ということです」と同氏は話す。「しかし、それはランダムな突然変異の結果に過ぎません。遺伝子のサイコロの目次第なのです」

白いピューマの写真が撮られた後、研究者たちは、その個体を捕まえて遺伝子を分析したいと考えていた。しかしながら、このピューマが目撃された国立公園の環境アナリストであるセシリア・クロネンバーガー・ジ・ファリア氏によると、その後、このピューマは見つかっていないという。

「昨年、カメラトラップ監視プロジェクトが再開されましたが、この個体やほかの変わった色のピューマに関する新たな記録はまだありません」と、クロネンバーガー・ジ・ファリア氏は、ナショナル ジオグラフィックへの最近のメールに書いている。同氏は、国際自然保護連合(IUCN)が発行するニュースレター「Cat News」で、18年にこのリューシズムの個体について述べた報告の著者でもある。

おそらく、ピューマの色にバリエーションがないことは、進化上のメリットにもデメリットにもなっていないが、ブラックパンサー(黒っぽい毛皮の大型ネコ科動物の総称)に関しては、暗い色の毛皮がカムフラージュになっているという説もある。

ライフスタイルは変わらない

Cat Newsの報告では、リューシズムのピューマは、急速に小さくなりつつある大西洋岸森林において、群れが分断され近親交配が行われている印である可能性が示唆されている。ピューマは生息地の喪失や餌の不足により、ブラジルをはじめ多くの場所で減少しつつあるものの、IUCNのレッドリスト(絶滅危惧種リスト)では「低危険種(least concern)」に分類されている。

しかし、ほかにリューシズムのピューマが目撃されていないため、「近親交配については、疑わしいと思います」とハンター氏は話す。

さらに、リューシズムのピューマの白っぽい毛皮は、ハンデにはならない可能性が高い、と同氏は付け加える。ピューマは森に隠れてすぐ近くまでやってきた小型哺乳類などを攻撃する待ち伏せ型の捕食者だからだ。一方、白いピューマが、米国西部の広大な平原でシカを狩るのは難しいだろう、と同氏は指摘する。

交尾相手を見つけることに関しては、同氏は笑って「メスは毛皮の色なんて、まず気にしないと思います」と答えた。

(文 CHRISTINE DELL'AMORE、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年12月7日付]