楽天モバイルに代わって料金引き下げ競争を主導しそうなのは、NTTドコモだ。12月25日付で上場廃止となり、NTTの完全子会社となる同社は、今後、NTT、ひいては菅政権の影響が強く反映されるとみられる。アハモが示すように、21年の携帯電話料金競争はNTTドコモを軸とした「官」の色が非常に濃いものとなるかもしれない。

NTTは20年9月29日にNTTドコモの完全子会社化を発表。苦戦が続いているNTTドコモを立て直し、競争力を強化するのが目的だとしている
NTTドコモの完全子会社化はNTTグループが再集結することにもつながるため、KDDIやソフトバンクなどのライバルは強く警戒、20年11月11日には公正競争環境整備の要望書を総務相に提出した

新型コロナが普及を妨げた5G

一方、20年の携帯電話業界で主役となるはずだった5Gの影は薄い。海外の主要国と比べて遅れていた日本の5Gだが、各携帯電話事業者は東京五輪に照準を合わせて5G関連のイベントを実施し、国内外に大々的にアピールするはずだった。

だがそのもくろみは新型コロナウイルスの感染拡大によって大きく崩れた。3月の商用サービス開始時に華々しく催される発表会は、オンラインでの開催に急きょ変更。5Gの先進性をアピールするイベントも軒並み中止となった。その結果、消費者は非常に狭い5Gのエリアに高額な5G対応端末を持っていかなければその実力を体験できず、5Gの評判を大きく落としてしまった。

20年に注目を集めるはずだった5Gだが、サービス開始直後の新型コロナウイルス感染拡大により、普及が大きく遅れることとなった
20年12月19日からのイベント「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」で実施される、5Gを活用したアトラクション。こうしたイベントで5G活用の事例が見られるようになったのは20年後半になってからだ

散々なスタートとなってしまった5Gだが、21年にはエリアの面展開も本格化する。安価な5G対応端末も増えるので、今よりも利用しやすくなると考えられる。21年は政治と料金に振り回される1年ではなく、5Gによる未来に注目が集まる1年になることを祈りたい。

佐野正弘
 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。