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吸収力はタンポン12本分 生理でナプキン不要の下着

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NIKKEI STYLE

クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」を活用し、約1カ月半の募集期間で集まった支援金は1億円超。市場の期待を背負ってスタートした、女性向け下着のD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)ブランドが「Be-A(ベア)」だ。CAMPFIREとインスタグラムのライブ配信を組み合わせたマーケティングで顧客の心をつかんだ。

Be-Aの主力商品が、優れた吸水性を持つショーツ型下着「ベア シグネチャー ショーツ」だ。一般的なタンポン12本分に相当する約120ミリリットルの液体を吸収できる。従来の生理用品では経血が多い日に漏れなどの不安があっても、Be-Aなら通常の下着を身に着けている感覚で快適に過ごせる。発売に先駆けて申し込みを受け付けたCAMPFIRE上では約2万枚が売れ、目標金額を大きく上回る1億円超の支援金が集まった。2020年7月30日の本格販売開始時にはわずか1日で完売。10月1日の再販時には既存顧客のリピート購入も相次ぐなど、その価値が顧客にしっかり伝わっているという。

開発のきっかけは、米国で先行して発売された同コンセプトの商品をBe-A Japan(東京・渋谷)代表取締役COO(最高執行責任者)の高橋くみ氏が手に取ったこと。「個人差はあるが、生理時にナプキンやタンポンを使わなくても下着だけで過ごせる画期的な商品だった」。同社は輸入代理業も手掛けていたため、国内販売を視野に入れ、実際に入手して試した。ところが想定よりも吸水量が少なく、期待する完成度には及ばなかったという。コンセプトは先進的でも、日本市場に見合った品質を担保できていなかった。「経血が付いたショーツを1日身に着けることになるため、高い吸水性で不快感を与えない品質のものでないと売れない」(高橋氏)と判断。輸入販売は断念した。

一方で、商品コンセプトそのものには、生理用品市場で新たな領域を生み出せる可能性を強く感じていた。「日本の生理用品市場は950億円程度といわれているが、そのうちショーツが占める割合はわずか15億円にとどまっていた」と高橋氏。そのショーツも経血の吸水機能を持つわけではなく、あくまでナプキンなど既存の生理用品をより効果的に使うための商品だ。「履くだけで安心」というショーツは存在しておらず、競合はいなかった。

市場創造の可能性は機能によるものだけではない。洗うことで繰り返し使えるショーツは、既存の使い捨て型生理用品の利用頻度を下げ、環境負荷を低減できる可能性がある。SDGs(持続可能な開発目標)が世界的な共通目標となる中、吸水型ショーツはサステナビリティを消費者にアピールできる。高橋氏は日本市場に見合った品質を追求すべく、自社開発に乗り出した。目を付けたのが尿漏れ防止素材の製造技術を持つ工場だ。この工場と交渉し、日本発の高品質な吸水型ショーツを開発。「他国の商品は吸水量が40ミリリットル程度なのに対し、当社製品は120ミリリットルと世界一の吸水量を実現した」(高橋氏)。

商品発表時には実現性を疑問視する声

もっとも、発表当初は批判も多かった。「漏れるのではないか、気持ち悪いのではないか。そんな意見を多数目にした」ともう1人の代表取締役である山本未奈子氏は振り返る。だが商品力には自信があった。批判が大きいということは、それだけ実現性が低いと思われている革新的な商品であることの裏返しだ。不安を払拭し、期待以上の商品を届けられれば大きな驚きを与え、情報が広がるのではないか。そうした発想で取り組んだのが、CAMPFIREとインスタグラムを組み合わせたマーケティングだ。

クラウドファンディングは事業展開の資金を募る場だと思われがちだが、昨今は本格展開前に"顧客内定者"を集めるマーケティングの場としての活用が進んでいる。支援者もクラウドファンディングを、新しい商品との出合いの場と捉えている。そこで、CAMPFIRE上では、5層の吸水体を組み合わせることで十分な吸水力を担保したことや、それを実現できた製造工場の技術力、洗濯することで繰り返し使えるサステナビリティなどをデータなども用いながら事細かく説明。また、先行販売で最大3割引きになるなど、CAMPFIREでお得に買えるようにした。

インスタグラムのライブ配信で社長自ら商品説明

ただ、批判が多かっただけに商品や情報を並べただけでは購入は進みにくいと考えた。そこで活用したのがインスタグラムのライブ配信機能だ。実は山本氏は、美容専門家としてインスタグラムに3万5000人超のフォロワーを持つインフルエンサーでもある。同じくBe-A JapanでPRを務める西村カナコ氏もインスタグラムに1万8000人のフォロワーを抱える。その強みを生かし、インスタグラムのライブ配信で直接フォロワーとコミュニケーションを取り、CAMPFIREに寄せられる質問などに対して丁寧に回答することで購入の心理的な障壁を取り除くことに苦心した。

特に多く寄せられた質問は吸水性への不安とサイズ選びだ。どれだけ技術力や素材特性を文字や図で伝えられても、やはり実感は持ちにくい。そこで、インスタグラムのライブ配信では、ジュースをショーツにかけて吸水力の高さを分かりやすく表現した。また、白い服を着てはくことで透けないというファッション性をうたいつつ、吸水性を高める上でジャストフィットのものを選ぶことを勧めた。インスタグラムのライブ配信は1時間で毎回累計数千人が閲覧。「配信後はCAMPFIRE上での売り上げが顕著に増加」(山本氏)するなど、着実に信頼を積み重ねていった。

「大手企業がつくらないニッチな商品だからこそ、伝えたいメッセージをダイレクトに届けて共感を得ることで、コミュニティーが形成される。そのコミュニティーから口コミで伝達されることで商品の信頼につながる」(高橋氏)。D2Cという形態を取っているのも、直接顧客とつながって新しいコンセプトと商品への思い入れをしっかり伝えるためだ。同時に、商品の改善やスポーツ向けなどの多角化に向け、顧客ニーズを直接把握できるのもD2Cならでは。

クローズドなコミュニティーで顧客ニーズを吸い上げ

「革新的な商品を完成させるには、開発が2段階ある」と山本氏は言う。最初の段階は自社で具現化したい理想の品質の商品をつくって、市場に送り出す。次の段階で顧客の声を集めながら、より完成度を高めていく。「生理のような身体的な悩みは人それぞれ。最初の商品を開発する上でアンケートなどを実施する中で、さまざまな悩みを抱えていることが分かっていた」(高橋氏)。その悩みを聞きながら顧客と商品を共創することでブランドへの愛着をより強く持ってもらえれば、ロイヤル顧客化につながりやすくなる。例えば、20年12月に発売予定の子供向けサイズは、購入者から寄せられた「子供にもはかせたい」という強い要望が開発のきっかけになっている。

20年10月にはそうした動きを活発化させるため、クローズドなコミュニティー「Be-A Circle(ベア サークル)」の立ち上げを目指し、メンバーを募った。フェイスブック上に開設したコミュニティーに参加してもらい、生理と付き合っていくためのアイデアや悩みを話し合う場だ。公の場では話しにくい話題でも、「生理ライフをより快適にする」という同じ目的を持った人だけが集まるクローズドな場であれば、活発な議論が期待できる。それが次の商品開発のヒントになる。

また改善速度の向上も期待できる。「商品開発を進める上での課題の1つが、生理は月に1回しかこないことだった」(高橋氏)。要は商品の恩恵を受けられる期間が限定されるため、少人数ではスピーディーに改善するのが難しかったわけだ。Be-A Circleではショーツ購入者であることなどを条件に、100人の参加を募った。それだけの参加者がいれば、より早く改善点の発見や検証ができるようになる。Be-A Circleは20年12月から本格稼働した。顧客と意見を交わしながら商品の幅を広げ、21年には売上高5億円の事業に育てる考えだ。

(日経クロストレンド 中村勇介)

[日経クロストレンド 2020年11月30日の記事を再構成]

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