富士通は20年4月、管理職1万5000人を対象に、果たすべき職責、求められるスキルなどを明確にした「ジョブ型雇用」の仕組みを導入した。さらに社内公募制を本格化、今秋には新任課長600ポストの社内公募を実施した。年齢や資格に関係なく、ポストにふさわしい人物かどうかを審査、21年4月には新制度で選抜された人材たちが着任する。

富士通の平松氏

富士通が求めるこれからの人材像について「未知のものにトライしてもらいたい」と話す平松氏。キーワードとして「自律」と「信頼」の2点を挙げる。社内公募制本格化の背景にも、自らのキャリアを自律的に考えてもらおうとの狙いがある。

採用手法も多様化をはかる考えだ。「従来の人材会社からの紹介中心から、企業と求職者が直接つながる『ダイレクトリクルーティング』、社員の紹介や推薦による『リファラル採用』も増やしたい」という。

「チームワークを大切にする」が大前提

仏系保険大手のアクサ損害保険。外資系とあって、もともとジョブ型の採用ではあるが、「チームワークを大切にできるか、誠実な人材かを重視して採用している」(人材組織開発部の山崎亙部長)。チームを大切にする「ワンアクサ」が同社の企業文化だからだ。

コロナ禍で非対面の行動様式が広がるなか、「今のような時代だからこそ、人への興味を持ち、チームワークを大事にできる人材の重要性が増している」(組織開発課の丸志信課長)という。金融や広告など、中途採用の出身業界はさまざま。求めるのは「変化を楽しめる人。そして、変化に飛び込める人」(山崎氏)であることだ。

アクサ損害保険の山崎氏(左)と丸氏

コロナ禍を背景とした急速なDXの進展により、それに対応するための新たな人材を多くの企業が必要としている。自動運転や電動化など「CASE」と呼ぶ次世代技術への取り組みを急ぐ自動車業界も例に漏れない。トヨタ自動車で「コネクテッドカー(つながる車)」を活用した新サービスに取り組む「コネクティッドカンパニー」の村田賢一BR-OTA推進室長も大手電機メーカーからの転職組。10月末の講演では「CASEがクローズアップされるなかで、ソフトウエアの領域が広がっている」と訴えた。

「前職の成功」を引きずらないで

中途採用に力を入れる各社に共通するのは、「VUCA」(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代と呼ばれるいま、自律的に動ける人材だ。リクルートキャリアの藤井薫HR統括編集長は「前職での成功体験をひきずらず、新たな環境で学ぶ力がある人材が転職後も活躍する」と解説する。積水ハウスの最上氏も「組織が違えば取り組み方が異なる。前職でうまくいったからといって、転職先で同じやり方に固執するとうまくいかない」と指摘する。あらゆる面で、求職者には柔軟性こそが求められているといえそうだ。

(村山浩一)

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