番組の企画で意識するのは、“他の人がやっていないこと”だという。6月には、ラジオを題材にした人気アニメ『波よ聞いてくれ』と公式コラボした回を放送。8月には、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の「エンドレスエイト」という、ほぼ同じストーリーを8週にわたり放送した回をオマージュし、3週連続で同じ内容のトークを展開する実験的な取り組みも行った。

「もともとリスナーさんが、『波よ聞いてくれ』の主人公に私が似ていると言ってくれていたんです。しかも、うちの放送作家さんが原作のマンガの大ファンだったこともあり、公式コラボが実現しました。本物の台本までお借りして、ワンシーンを再現するゲリラ放送を行いました。

『涼宮ハルヒの憂鬱』はもともと好きな作品だったので、何か自分発案でできないかと思いついたのが、『エンドレスエイト』のオマージュ。3週連続でオープニングトークからフリートーク、かける楽曲まで同じようにやった人って、多分ラジオ史上いないんじゃないんですか? ただトーク内容はほぼ一緒でも、その日届いたメールとリンクさせたり、流す曲は一緒でも歌っている人を変えたりと、文字起こしをしたらすごく高度なことをやってるのが分かると思います(笑)。どこで何を言ったかを全部覚えておきながら、そのままの再放送にはならないよう微妙な違いを出したりして。やり終えた直後は、『よく3週やりきった』とスタッフさんたちと労い合いました。もう2度とやらないと思います。最初で最後のループです(笑)」

城を構築し続ける大変さ

インタビュー中も、『オールナイトニッポン0(ZERO)』について話し出すと止まらないほどの情熱を注ぎ込んでいる彼女。ただその一方で、ぬぐいきれない不安もあるという。

「テレビのバラエティに出始めるようになって約1年半くらいなんですけど、自分のなかで1番誇れる仕事や実績が、この『オールナイトニッポン0(ZERO)』なんです。すごい先輩方が歴史をつないできた番組ですから。それに冠番組という、いわば自分の城を持てた喜びが何より大きい。最近、ツイッターで、『伊集院光さんの番組の名物ハガキ職人が、ウイカさんのところにも出してる!』みたいなつぶやきも発見し、認められてきてるのかなと、うれしくなりました。

ただ、この城を構築し続けていく大変さも、すごく痛感していて……。来年も続けていられる保証なんて、どこにもないですから。だから長く続けるには、来週も聴きたいと思ってもらえるものを、毎回毎回一生懸命やるしかない。そうなると、リスナーから『なんだこれ!?』というリアクションがあるぐらいの、これまでやってきたような企画のほうが印象に残るし、誰かに話したくなると思うんです。

いつか『最高級のマンネリ』や『当たり前の殿堂』みたいな立ち位置にたどりつければ、安全運転の番組のほうがいいとは思うんですけどね。なので、『もしかしたら私だけ来週に改編が来るかも?」ぐらいの危機感を常に持って、毎週臨むようにしています(笑)」

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『ファーストサマーウイカのオールナイトニッポン0(ZERO)』
 ほぼNGなしトークに加えて、コーナーも充実。“ファーストサマーウイカ”のような名前を様々な有名人に命名したものを募る「命名!ウイカネーム!」、リスナーが盗み聞きした「エロい発言」を送ってもらう「盗聴!!ファーストサマーウイカ」など、深夜テイストも抜群。(月曜27時~28時30分/ニッポン放送)
特集 僕たちのラジオデイズ
マイク1本、声だけでコミュニケーションするラジオは、タレントとリスナーの双方にとって親密度の高いメディアだ。再評価が進むラジオの魅力を、人気パーソナリティーたちに聞いた。

●草彅剛×香取慎吾(前編)「もしラジオがなければこの3年は…」
●草彅剛×香取慎吾(後編)「想像かき立てる見えないラジオの良さ」
●ナイツ(漫才コンビ)「ラジオ生放送、週15時間半の秘訣」
●ファーストサマーウィカ「深夜ラジオ、下ネタは知的に」
●ニューヨーク「YouTubeラジオの先駆者」
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●空気階段「リスナーが親近感持つ理由は?」
●パパラピーズ「YouTuberがラジオで戸惑ったこと」
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(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2020年12月号の記事を再構成]

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