草彅剛×香取慎吾 もしラジオがなければこの3年は…僕たちのラジオデイズ(1) 草彅剛・香取慎吾インタビュー(上)

日経エンタテインメント!

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2020年の春に25年を迎えた草彅剛と香取慎吾のラジオ番組『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)。SMAP時代から “どうでもいい話”をし続けてきたここでの時間は、2人にとってどんな意味があるのか。なぜ25年も続いているのか。記憶をたどりながら番組に向き合ってもらった。

後編「草彅×香取のラジオ観 想像かき立てる見えない良さ」>>

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都内にあるスタジオの一角で、打ち合わせもそこそこに、ぬるっと始まるいつもの会話。“しんつよ”と呼ばれる2人のラジオ番組『ShinTsuyo POWER SPLASH』は、草彅が20歳、香取が18歳のときに始まった。現在26年目。今では彼らの最長寿レギュラーになっている。

草彅剛(左)1974年7月9日生まれ。Amazonプライム・ビデオにてユースケ・サンタマリアと共に出演する番組『なぎスケ!』配信中。香取慎吾(右)1977年1月31日生まれ。Amazonプライム・ビデオで三谷幸喜脚本・演出のドラマ『誰かが、見ている』配信中(写真:アライテツヤ)

そこまで長く続いている番組とは一体どんな内容かと思ってしまうが、一言で言うなら、脈絡もオチもない“どうでもいい話”をしている、ゆる~い番組。「関係者でも存在を知らない人が結構いる」と本人たちが言うように、計算された笑いや段取りとは一切無縁の、無防備な自由さが持ち味だ。そんな番組をやっている彼らには少々ナンセンスな質問かもしれないが、「自分にとってラジオとは?」というもっともらしいテーマを投げかけてみた。

香取 4月で25周年を迎えたんですよね? でもそんな意識、全くない!(笑)。

草彅 何年目とか、分かってないですからね。でもレギュラーとしては1番長い番組になってます。「生活の一部になっています」って、番組に関してよく使う言葉があると思うんですけど、それ以上になじんじゃっていて、生活の一部ってことすら忘れちゃってるっていうか。何があっても、いろんなことがあってもずっとやってきてる。だから、肩の力を抜いてるとかいうレベルじゃないですね(笑)。

辞めようと思ったあの頃

この25年間、国民的アイドルとして多忙な日々を過ごしてきた2人。そのため、この番組の収録は他の仕事の合間に行われることが大半だった。コンサート会場での収録でメンバーが急遽(きゅうきょ)参加するという豪華な回もあったが、主な収録場所は『SMAP×SMAP』の楽屋となっていた小さな畳の部屋。1度もラジオスタジオを使わないという年もあった。

草彅 1人しか出てなかったときもあったよね。

香取 あの時期僕は、本当にちょっと辞めようかなと思ったんですよ。bayfmさんに申し訳なさすぎて。マネジャーさんとも「ちょっといい加減にしないと、このやり方はよくない」って話したりして。2人のラジオなのに、いくら忙しいとはいえ、完全に1人ずつ交代で、そのルーティンがしっくりき始めちゃってる感じもあったから。だから、「この日に収録をしたい」って言われてまた1人の予定だったときに、「つよぽんが連ドラ中でどうしても時間がないなら、何時でもいいからそこに合わせて僕が行くから2人で録ろう」って言ってやったりもしてた。……っていうのは、つよぽんは知らないと思う。

草彅 知らないねえ~。

香取 ふふふっ。「知らないねえ」って(笑)。その頃は本当にこのままなら辞めたほうがいいんじゃないかなって思ってた。

草彅 そういう、ピンチもあったんだねぇ。

香取 知らなかったけど?

草彅 うん。

香取 ハハハハ! でもやっぱり大きかったのは3年前。僕とつよぽんが新しい道を歩み始めようとしたときに、テレビのレギュラー番組とかが全部終わって。そのなかでこのラジオが終わらないっていうことのほうがビックリした……ハハハ!

草彅 そうだねえ~。

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