日経エンタテインメント!

香取 いや、そんなことはないですよ! 本当にありがたいんだけど、これだけが残ったから、注目度がもうすごくて。実際、いまだにレギュラーと言えるレギュラー、毎週僕とつよぽんの“今”の声が聞けるのは、ここしかないからね。だけど、変に注目されちゃうと困っちゃう。そんなつもりでやってきてないから(笑)。

でもやっぱり、ここがありがたかった感じはあったのかな。まだ新しい道が見えないなか、他の番組は何年も一緒にやってきたスタッフと終わっていく作業をしていたりしたときに、ここは変わらなかったから。自分の決断ではあるんだけど、仕事っていうものへの向き合い方が難しい状況が他でいっぱいあったなかで、ここはちょっと癒やされる場所ではあったかな。

草彅 うん。何も変わらなかったから。で、何気ない話がネットニュースになって、「え、マジかよ!?」みたいな(笑)。

香取 ネットニュースを見て、「確かにそうだな、今の時期にこれを言ってるって、ニュースになるか……」っていうような。本当はそこまで考えてもないのに(笑)。

草彅 それくらい、メディアの中では1番、何も考えないでしゃべってる場所でもあるかな。編集してくれるだろうって思ったらされてなかったりもするし(笑)。でもファンの皆さんはそういう話を聞けて、僕も言えて、より気兼ねなく活動できるてるのかもしれない。「あ、それもうラジオで言っちゃってたんだ、オレ?」みたいに、ここで話したことによって、他でも自由に動けるというか。取材でも、最近はインタビュアーさんが聴いてくれてたりするし。

香取 もう1つ思い出しました。

草彅 何?

香取 それこそ3年ぐらい前、僕がラジオのスタッフさんと直接連絡を取ったりしてたよね? マネジャーさんとかもいない時期がスポッとあったとき。僕がスタッフさんに連絡を取って、つよぽんに「いついつ収録だから」って、ね?

草彅 そうだねえ。

香取 数カ月やってたかなあ?

草彅 そっか。マネジャー業務もこなしたんだね。

香取 そうだよ!

草彅 すごいね! デビュー当時もそういうことがあった、慎吾はうまいんだよな、そういうの。なっ?

香取 ……(笑)。

草彅 オレできないもん、そんなこと。慎吾はマネジャーの才能もあるんだね。

香取 違う違う違う(笑)。僕は結構必死に連絡を取り合ってやってるのに、つよぽんは「ああ分かった~。○時でいいよね?」みたいな、ホントにマネジャーさんと話すみたいな感じで言ってくるから、ふざけんなよ! と思いながらやってたよ(笑)。

草彅 悪かったな、そのときはな!

香取 アハハハハ!

草彅 こうして振り返ると、本当に周りに支えられてるね。不思議な力で進んでいるラジオだね。

後編「草彅×香取のラジオ観 想像かき立てる見えない良さ」>>

『ShinTsuyo POWER SPLASH』
(写真:アライテツヤ)

 1995年4月に『SMAP POWER SPLASH』として放送開始。17年からは『ShinTsuyo POWER SPLASH』と改題し、現在に至る。番組内容は、月替わりのテーマメッセージ「マンスリーテーマ(略してマンテ)」、独り言のようなどうでもいいひと言を紹介する「どうでもいい話」など、リスナーからのメールやハガキを基にしたコーナーがメイン。近年は、リスナーから送られてきた歌詞をもとに、草彅がギターを弾き香取が歌う「しんつよ即興ソング」も人気コーナーに。18年4月から、第1日曜日は「新しいベイの窓」と題し、ABEMAで生配信されている番組『7.2 新しい別の窓』の音声をラジオで放送するというハイブリッドな連動企画を行っている(一部の時間帯のみ)。(日曜19時/bayfm)
特集 僕たちのラジオデイズ
マイク1本、声だけでコミュニケーションするラジオは、タレントとリスナーの双方にとって親密度の高いメディアだ。再評価が進むラジオの魅力を、人気パーソナリティーたちに聞いた。

●草彅剛×香取慎吾(前編)「もしラジオがなければこの3年は…」
●草彅剛×香取慎吾(後編)「想像かき立てる見えないラジオの良さ」
●ナイツ「漫才コンビのナイツ ラジオ生放送、週15時間半の秘訣」
●ニューヨーク「YouTubeラジオの先駆者」
●山崎怜奈(乃木坂46)「ラジオの良さ、自分に似ている」
●空気階段「リスナーが親近感持つ理由は?」
●パパラピーズ「YouTuberがラジオで戸惑ったこと」
●工藤大輝(Da-iCE)

(インタビュー 大野ケイスケ、文 関亜沙美)

[日経エンタテインメント! 2020年12月号の記事を再構成]