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白木を基調とした内装。柱に貼った手書きの短冊が賑わい感を出している

店としても調理を効率化できる利点がある。すしの注文でも刺し身の注文でも同じ大きさのものを切り出せば済むからだ。

看板のインパクト、魚の鮮度の高さ、そしてコスパの良さ。お気付きの通り、「立ち寿司横丁」を経営するのは、中小店ではない。「塚田農場」で一世を風靡した一部上場企業、エー・ピーホールディングスだ。

エー・ピーは、宮崎地鶏を中心に生産から販売までを手がける6次産業化で注目され、上場を果たした。そして、地鶏の陰に隠れてはいるが、鮮魚についても同じモデルを展開することにチャレンジし、「四十八漁場」という鮮魚居酒屋を開発。現在、関連ブランドを含め、およそ20店を展開している。

いわし刺し(750円)。テカリが美しい

勝ちパターンは「塚田農場」と同じだ。全国の漁協を一つひとつ口説き落としながら提携し、早朝に漁をした「朝獲れ」の魚を、その日のうちに店舗へ配送するという物流網を構築している。「立ち寿司横丁」は、このシステムを使って、おいしい魚をより安く、より気軽に食べさせようという戦略的な店舗でもある。

エー・ピーは、コロナによって居酒屋業態が鶏分野も魚分野も壊滅的な打撃を受けた。その中で2018年、新宿西口に1号店を開店した「立ち寿司横丁」は客の圧倒的な支持を受けていた。それをいまジワジワ増やしている。

現状の店舗は、新宿、中野のほか、吉祥寺、高円寺と、中央区、港区などの都心繁華街より少し外れたエリアへの出店となっている。薄利多売のため、ある程度の集客が見込める、住宅街を後背地に持った1階の店舗を志向しており、家賃を安く抑えるために必要な出店戦略なのだろう。エー・ピーの米山久社長は「今後の戦略業態の一つ」と発言しており、これから増えていくことは確実だ。

「朝獲れ」を誇示する看板

中野サンモール店の会計は、税込みで3300円あまり。割と飲み食いしてしまったので、おそらく普通の人よりは金額が行ってしまったと思うが、今はチェーン居酒屋でも2500~2700円はする。満足度は高い。

一つ、言い忘れていた。「立ち寿司横丁」は、テークアウトにも熱心で、数種のセットを販売している。1人前で1000円前後、3人前で3000円程度だ。回転ずし店もテークアウトに力を入れているが、わざわざ行くのは面倒臭い。駅前・主要駅近くにある「立ち寿司横丁」ならば、一人ご飯にも、家族の夕食にも使いやすい。持ち帰りすしチェーンや持ち帰り海鮮丼チェーンが実は増えているのだが、「質」の点では「立ち寿司横丁」が有利ではないか。こうした「天国」の楽しみ方もある。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)


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