個包装の導入で食べやすさと衛生面に価値

「小売店での販売価格が荒れていくという時期もあり、ブランド価値を守り、再構築する意味も込めて、2004年に『小枝』を個包装することにして商品を刷新しました」(村瀬氏)

「小枝」の個包装は4本を1つの袋に入れてある。実際に個包装されたものを見ると分かるが、袋内にはもう1本の「小枝」が入りそうな空間的「ゆとり」が残っている。1995年に森永製菓に入社し、大阪や東京で営業マンとして小売店を歩いてきた村瀬氏にも「もう1本入りそうなのに、なんで4本だけなの?」という質問が多かったという。

袋を破りやすいよう、個包装には余裕をもたせてある

「そのたびに説明してきたのが、1本分のゆとりがあることによる、袋の『開けやすさ』です。みっちり5本入っていたら袋の端を破りにくいし、商品である「小枝」が落ちてしまうことも。ゆとりを持って開けられるからこそ、直接的に触らなくても「小枝」を取り出せる『衛生的な価値がある商品』なのだと説明していました」(村瀬氏)

公害問題が深刻化した70年代に「エコ」を意識したテレビCMで売り上げを伸ばした「小枝」は、時をへて衛生面での価値を強調できる商品のひとつとしてブランド価値を高めていった側面があるようだ。

79年にホワイトチョコレートで作った「白樺の小枝」を発売したのをはじめ、森永製菓は様々なフレーバーを持つ「小枝」を展開してきた。これも個包装にして以降は「話題のフレーバーを友だちや職場の仲間とちょっとずつシェアして食べるのに便利という声もありました」(村瀬氏)

巣ごもり消費で強みを発揮

「世界的に環境保全意識が高まる中で、個包装は『資源的にムダが多いのではないか』という意見は根強かった。しかし、2020年に入って新型コロナウイルス感染症が各地で拡大してからは、個包装の衛生的な利点が見直されるようになってきました」

ロングセラーの「小枝」は、コロナ禍でも強さを発揮しているようだ。「小枝」の商品全体での売上高は開示していないが、ここ5年間はフレーバー(味)商品の展開などで30%の伸びを続けてきた。それが、「直近ではさらに10%上乗せして伸びている感じです」と村瀬氏は打ち明ける。

コロナ禍で自宅に閉じこもって生活を続ける「巣ごもり消費」のスタイルが広がったことで、定番ロングセラーの「小枝」はスーパーなどの小売店で「手に取ってもらいやすい商品」だという。「店に大人数で行かなくなり、短時間で買い物を済ませるには『ブランドを知っていて安全面でも問題がない』という商品が選ばれる傾向にあるのだとみています」と村瀬氏は分析する。森永製菓によると、「小枝」は消費者のブランド認知度が87%にものぼるという。

「小枝」の購入層は40代女性が多く、子供たちにも安心して食べさせられるロングセラー商品として認知されている。そこには、森永製菓が創業から掲げてきた「おいしく たのしく すこやかに」という企業理念を、「小枝」という商品を通して感じ取っている消費者心理の機微がうかがえる。

(ライター 三河主門)

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