横浜創英では生徒が修学旅行の代替プランを考えたと語る工藤校長

そんなの不公平じゃないかとの指摘もあると思いますが、中2の学年で生徒たちが実験的に希望者を募ったのです。給食当番は各クラスに6人は必要ですが、1クラスを除いた3クラスで条件を満たしました。3人しか希望者のいないクラスには、9人の希望者がでたクラスから3人を借りて給食当番をすることにしたのです。実証実験としての2週間のこの「ボランティア給食当番」は大成功でした。

給食の準備・配膳活動はスムーズに実施され、その学年の全生徒が昼休みを有効に過ごすことができるようになりました。給食当番なんて小さな話だと思うかもしれませんが、この話には続きがあります。この学年は2年後期に生徒会の中心メンバーとなりましたが、全ての各種委員会も男女各1人と無理やりに決めて選ぶやり方ではなく、希望者を募って回すボランティア制にしようとなったのです。

これを生徒総会に諮り、全校生徒で合意されました。もちろんこのプロセスには教師は介入していません。現在、すべての委員会はこの制度下で運営されていますが、委員の意識は「何をやればいいの?」から「何ができるか?」に確実に変化し、新たなアイデアが次々と生み出されるようになったと聞いています。

麹町中学では生徒が主体になって学校運営を担うというスタイルが根付き始めています。昨年も2つのアイデアが実現しました。学校では通常毎月1回、避難訓練を実施しているのですが、以前はすべて先生側がプランを決め、指示して行ってきました。このことに問題意識を持った生徒たちの提案は、実際の災害に本当に対応できるよう、生徒が主体となって実施すべきだいうものでした。

やらされ感の中では当事者意識をもてないというわけです。この生徒たちの提案が基になり、今年度からは予告をせずに避難訓練を実施したり、生徒自らが指示をして避難するスタイルを取り入れています。

この4月から新しい制服に変わりましたが、この件も校則の基本的なルールの権限を生徒と保護者に委譲したことにより実現したことです。まずはPTAの組織に制服等検討委員会が設置され、続いて生徒会の中にも同様の委員会が立ち上がりました。その後、制服業者対象にコンペを開催し、デザインを決めるまでには、およそ2年もの長い時間がかかりましたが、この間、この2つの委員会は誰一人置き去りにすることのない制服のあるべき姿を追求し続けました。