骨強くする黄金の三角形 カルシウムとどのビタミン?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)ビタミンC
(2)ビタミンD
(3)ビタミンE
(4)ビタミンK
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(2)ビタミンD と(4)ビタミンK です。
骨はカルシウムでできているため、骨を強くするには、まず原料となるカルシウムを積極的に補給する必要があります。さらに、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、カルシウムの骨への沈着を進めるビタミンKも重要で、この3つの栄養素が、骨を強くする「ゴールデン・トライアングル」といわれます。
カルシウムが多く含まれるのは、牛乳、ヨーグルト、豆腐など。魚では、骨ごと食べられるワカサギ、シシャモ、シラス干しなどの小魚に多く含まれ、サバなどの缶詰も骨が軟らかく骨ごと食べられるのでカルシウム量は豊富です。
ビタミンDはこのところ注目が高まっている栄養素です。不足すると骨がもろくなるだけでなく、糖尿病や高血圧のリスクも高くなる可能性が示唆されています(Arch Intern Med. 2007 ;167:1159-65.)。
食品ではアジやサバなど青魚に多く含まれますが、肌に日光を浴びることでも合成されます。日光を避けるようになった現代人はビタミンDが足りなくなりがち。ある程度は日光を浴びることも必要です。日焼け対策で肌を露出しないようにしている人は、とりわけビタミンDを多く含む食品を積極的に取り入れたいところです。
ビタミンKは納豆に多く含まれています。実際、納豆をよく食べている人は骨折しにくい傾向があることが分かっています。「東日本ではよく納豆を食べるので、西日本よりも2割くらい大腿骨頸部骨折が少ないという報告もあります」と言うのは、原宿リハビリテーション病院名誉院長の林泰史さん。ぜひ積極的に食べるようにしましょう。
骨粗しょう症予防には、運動も大事
骨粗しょう症予防には、もちろん運動も欠かせません。特に「垂直方向に刺激を加えることで、骨量が増えて骨が強くなります」と同病院リハビリテーション科課長の中江暁也さんは言います。実際、重力のない宇宙空間では骨からカルシウムが放出され、急速に骨量が減ることが知られています。水泳選手も意外と骨粗しょう症になる人が多いのだそうです。
垂直方向に刺激を加える運動法というと縄跳びやジャンプを思い浮かべる人も多いでしょうが、中江さんによると「スクワットや立ち座りで下半身の骨に体重を加えるだけでもいい」そうです。
下半身の筋肉を鍛えることは、転倒や膝の痛みの予防にもつながります。特にスクワットは脚を伸ばす筋肉と曲げる筋肉の両方を鍛えられるうえ、垂直方向に刺激が加わるため、前述したように骨量も増やしてくれるいい運動です。太ももの大腿四頭筋は人体最大の筋肉なので、少し鍛えるだけでトータルの筋肉量が増えるというメリットもあります。参考のために中江さんがお勧めする運動を紹介しましょう。
それほど強度は高くないので、膝などに不調がない限り、回数を減らせば高齢の方でも取り組んでいただけます。ただし、痛みが出たりする場合は避けてください。
クオーター(1/4)スクワット
(2)3秒くらいかけて、膝を45度(直角の半分)まで曲げて腰を落とす
(3)3秒くらいかけて、膝を伸ばす
(4)体力に応じて10~20回繰り返す
クオータースクワット(膝の角度が45度)にする一番の理由は「過度な膝への負担を減らす」ため。また、背骨が屈曲している高齢者がいきなりハーフスクワット(膝の角度が90度)をすると、体をより前方に曲げなければならず腰への負担が増大する、45度から始めると正しいスクワット姿勢を身に付けやすい、といった理由もあります。
クオータースクワットで負荷が軽いと感じる場合は、胴体と腕の角度が90度になるよう両手を体の前方に出し、ペットボトルを持ちながら実施しましょう。あるいは、クオータースクワットを数週間実施してから、余裕があればハーフスクワットに段階を上げるのもいいでしょう。
このほか「かかとを上げる運動」や「爪先を上げる運動」をするのも効果的です。「かかとを上げる運動」ではふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋が、「爪先を上げる運動」ではすねにある前脛骨筋が鍛えられます。このうち「爪先を上げる運動」は、前脛骨筋が強くなるとつまずきにくくなるため、特に転倒予防の効果が高いそうです。これらの運動の手順を知りたい方は、「足の衰え防ぐ『筋肉・骨貯金』 習慣にしたい運動は?」をご覧ください。
[日経Gooday2020年11月24日付記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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