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NYのツリーにフクロウがなぜ 珍事件の一部始終

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

小さなフクロウが回復力の大きなシンボルになっている。フクロウは巨大なクリスマスツリーに入った状態ではるばるニューヨークまで運ばれてきたが、無事に生き延び、2020年11月24日、再び自由の身になった。

北米で最も小さなフクロウのひとつである体長20センチ足らずのアメリカキンメフクロウは、高さ25メートル近いトウヒの根元に隠れているところを発見された。このトウヒはニューヨーク州北部で切り倒した後、ニューヨーク市マンハッタン、ミッドタウン地区のロックフェラーセンターにトラックで運び込まれ、毎年恒例のクリスマスツリーとして設置されることになっていた。

このフクロウは発見後、マンハッタンから約150キロ北にあるレイブンズビアード・ワイルドライフ・センターで数日にわたって治療を受け、最も活発な時間帯である夕暮れどき、森に放たれた。

ニューヨーク州の自宅でレイブンズビアードを運営し、野生生物のリハビリを行うエレン・カリッシュ氏は「鳥を放すときはいつも胸がいっぱいになります。そのためにこの仕事をしているのです。本当に美しい瞬間です。鳥のリハビリに携わる者は皆、鳥たちが野生に戻る瞬間を見るために働いています」と話す。

カリッシュ氏は11月18日、このフクロウについての問い合わせを受けたとき、「電話を落としそうになりました」と振り返る。電話の主はクリスマスツリーの設置を担当する作業員の妻で、設置準備を進めていたとき、小さなフクロウが見つかったという。木の中に何日も閉じ込められていた可能性があり、けがをしているかもしれないという内容だった。カリッシュ氏が到着すると、フクロウは段ボール箱の中で直立し、カリッシュ氏を見つめていた。「これは奇跡だと思いました!この鳥はどのように生き延びたのでしょう?」

カリッシュ氏はこのフクロウをロックフェラーと名付け、「ロッキー」と呼ぶことにした。

「彼女は脱水状態で、とてもおなかをすかせていました」。少なくとも何日か飲食できなかったのではないかとカリッシュ氏は推測している。カリッシュ氏が水と数匹の冷凍ネズミを与えると、ロッキーはむさぼるように食べた。獣医師が診察し、レントゲンを撮ったが、骨折や内臓の損傷は見つからなかった。翌19日には、ロッキーは水浴びを始めた。上機嫌な証拠だ(カリッシュ氏によれば、フクロウが水浴びをすると「あちこちが水浸し」になるという)。

ほとんどの渡り鳥は丈夫だが、カリッシュ氏は20年にわたって鳥のリハビリを続けてきた実感として、フクロウは弱い場合があると考えている。

「彼らは捕食者で、攻撃を仕掛けることに慣れています。危険にさらされたり、病気にかかったりすると、健康を維持することが難しくなります」。そのため、ロッキーがあのような試練に直面しながら、すぐに回復し、生き生きと動き始めたことは、とても励みになったとカリッシュ氏は話している。

フクロウのロッキーに全米が恋した

ロッキーは元気になったと確信した後、カリッシュ氏はこの冒険物語を自身のフェイスブックのページで共有することにした。「それほど特別な物語でした。今はすべての人が笑顔になる機会を必要としています。独り占めするのはもったいないと思いました」。ロッキーの物語は拡散し、歓喜のコメントが多数寄せられた。さらに、全米のメディアから電話がかかってきた。カリッシュ氏はロッキーとほかの鳥たちの世話をしながら、家族の協力を得てこれらに対応した。現在、カリッシュ氏の自宅にはアメリカオシ1羽、ハト4羽、モモアカノスリ1羽などがいる。

ロッキーは確かにたまらなくかわいいが、カリッシュ氏は誤った認識を持たないよう人々に呼び掛けている。「彼らが頂点捕食者であることを忘れてはいけません。彼らは凶暴で、決して柔らかいフワフワな鳥ではありません。実際、私を最も流血させるのは最も小さな鳥たちです」

ロッキーが発見された木はニューヨーク州オネオンタの食料品店ダディー・アルズ・ジェネラル・ストアから寄贈されたもの。数日にわたって警察の保護下に置かれた後、11月12日に伐採された。そして、クレーンでトラックに積まれ、300キロ以上離れたマンハッタンに運ばれた。

ロッキーが切り倒された木をねぐらにしたのか、伐採前から木の中にいたかは不明だ。カリッシュ氏は後者の可能性が高く、脱出できなくなったのではないかと考えている。「木の空洞に隠れていたか、頭に外傷を負い、枝にしがみ付いていたかのどちらかでしょう。ショック状態だったのかもしれません」

カリッシュ氏によれば、クリスマスツリーの設置担当者たちは動揺していたという。木を入念にチェックし、何も隠れていないことを確認済みだったためだ。しかし、アメリカキンメフクロウは小さく、擬態の名人でもあるとカリッシュ氏は話す。「動物は見逃しやすいものです。夜行性で、目立たないようにしていればなおさらです」

放鳥のとき

11月20日、カリッシュ氏はロッキーを屋外訓練用ケージに移した。屋外の環境に慣れさせ、飛ぶ姿を観察するためだ。カリッシュ氏は放鳥の準備が整ったと判断し、24日の夕暮れどき、近くの針葉樹林に放すことにした。

オネオンタの住民を含む複数の人々がフェイスブックに、木が伐採されたオネオンタに放鳥しない理由を問うコメントを投稿した。アメリカキンメフクロウはよく移動する鳥で、特定の場所に定住するわけではないとカリッシュ氏は説明している。「お気に入りの木があるわけではありません。獲物を食べ尽くしたら、ほかの場所に移動します」

ほかの猛禽(もうきん)類の場合、発見された場所に放すこともあるが、そうした種と異なり、アメリカキンメフクロウは生涯の伴侶を持たない。繁殖期が来るたび、新しい相手を見つけるのだ。何人かの専門家に相談した後、「わざわざ車で運び、ストレスを与える価値はないと判断しました」

米国鳥類保護協会の多様性責任者で、バードウオッチングの愛好者でもあるジェイソン・ウォード氏も同意見だ。体重は100グラムほどしかないが、アメリカキンメフクロウは「最も丈夫で要領のいい鳥のひとつです。大西洋の100キロ以上沖で目撃されたという記事を読んだことがあります。漁船の上にいたようです」

ロッキーの奇跡の物語をきっかけに、全米で日々行われている野生生物のリハビリの仕事にも光が当たることをカリッシュ氏は願っている。カリッシュ氏はロッキーの物語に感銘を受けた人々に、地元で行われている野生動物のリハビリを支援してほしいと呼び掛けている。

家のツリーに隠れている可能性?

クリスマスツリーの伐採や購入を計画している人もいるだろう。鳥が閉じ込められていたらどうしようと思っているかもしれないが、心配は無用だ。

オレゴン州立大学林学部に所属するクリスマスツリーの専門家チャド・ラングレン氏は、クリスマスツリーの生産者が放棄された鳥の巣を発見することはあるが、生産者の一人として、生きた鳥は30年間で一度も見たことがないと話している。

また、オレゴン州やワシントン州にはいくつかのルールがある。例えば、ハワイ州などの暑い地域に輸送する木はすべて、正確なスピードで15秒間揺らし、枯れ葉やスズメバチの巣、ナメクジを落とさなければならない。

クリスマスツリーに関しては、「これは一度きりの出来事だと思います」とラングレン氏は話す。「20メートル超の大木を切り倒すわけでもない限り」、フクロウが隠れていることはないだろう。

ロッキーが野生に戻った後、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーは12月、全長約8キロのイルミネーションとともに点灯された。

(文 NATASHA DALY、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年11月26日付]

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