NYのツリーにフクロウがなぜ 珍事件の一部始終

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/12/18
ナショナルジオグラフィック日本版

アメリカキンメフクロウのロッキー。レイブンズビアード・ワイルドライフ・センターでリハビリ中に撮影。ニューヨーク州北部からニューヨーク、マンハッタンのロックフェラーセンターに運ばれた高さ25メートル近いクリスマスツリーの中で発見された(PHOTOGRAPH BY RAVENSBEARD WILDLIFE CENTER)

小さなフクロウが回復力の大きなシンボルになっている。フクロウは巨大なクリスマスツリーに入った状態ではるばるニューヨークまで運ばれてきたが、無事に生き延び、2020年11月24日、再び自由の身になった。

北米で最も小さなフクロウのひとつである体長20センチ足らずのアメリカキンメフクロウは、高さ25メートル近いトウヒの根元に隠れているところを発見された。このトウヒはニューヨーク州北部で切り倒した後、ニューヨーク市マンハッタン、ミッドタウン地区のロックフェラーセンターにトラックで運び込まれ、毎年恒例のクリスマスツリーとして設置されることになっていた。

このフクロウは発見後、マンハッタンから約150キロ北にあるレイブンズビアード・ワイルドライフ・センターで数日にわたって治療を受け、最も活発な時間帯である夕暮れどき、森に放たれた。

ニューヨーク州の自宅でレイブンズビアードを運営し、野生生物のリハビリを行うエレン・カリッシュ氏は「鳥を放すときはいつも胸がいっぱいになります。そのためにこの仕事をしているのです。本当に美しい瞬間です。鳥のリハビリに携わる者は皆、鳥たちが野生に戻る瞬間を見るために働いています」と話す。

カリッシュ氏は11月18日、このフクロウについての問い合わせを受けたとき、「電話を落としそうになりました」と振り返る。電話の主はクリスマスツリーの設置を担当する作業員の妻で、設置準備を進めていたとき、小さなフクロウが見つかったという。木の中に何日も閉じ込められていた可能性があり、けがをしているかもしれないという内容だった。カリッシュ氏が到着すると、フクロウは段ボール箱の中で直立し、カリッシュ氏を見つめていた。「これは奇跡だと思いました!この鳥はどのように生き延びたのでしょう?」

ロッキーの世話をするレイブンズビアード・ワイルドライフ・センターの運営者エレン・カリッシュ氏。ロッキーは発見時、脱水症状だったが無傷で、6日間のリハビリ後、森に放たれた(PHOTOGRAPH BY RAVENSBEARD WILDLIFE CENTER)

カリッシュ氏はこのフクロウをロックフェラーと名付け、「ロッキー」と呼ぶことにした。

「彼女は脱水状態で、とてもおなかをすかせていました」。少なくとも何日か飲食できなかったのではないかとカリッシュ氏は推測している。カリッシュ氏が水と数匹の冷凍ネズミを与えると、ロッキーはむさぼるように食べた。獣医師が診察し、レントゲンを撮ったが、骨折や内臓の損傷は見つからなかった。翌19日には、ロッキーは水浴びを始めた。上機嫌な証拠だ(カリッシュ氏によれば、フクロウが水浴びをすると「あちこちが水浸し」になるという)。

ほとんどの渡り鳥は丈夫だが、カリッシュ氏は20年にわたって鳥のリハビリを続けてきた実感として、フクロウは弱い場合があると考えている。

「彼らは捕食者で、攻撃を仕掛けることに慣れています。危険にさらされたり、病気にかかったりすると、健康を維持することが難しくなります」。そのため、ロッキーがあのような試練に直面しながら、すぐに回復し、生き生きと動き始めたことは、とても励みになったとカリッシュ氏は話している。

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