ソニーの新型カメラα7S III 美しい動画撮る工夫満載

ソニーが10月に発売した高感度フルサイズミラーレス一眼カメラの新機種「α7S III」。公式オンラインストアの販売価格は税別40万9000円
ソニーが10月に発売した高感度フルサイズミラーレス一眼カメラの新機種「α7S III」。公式オンラインストアの販売価格は税別40万9000円

ソニーから待望のカメラが登場した。同社の高感度フルサイズミラーレス一眼カメラ「S」シリーズの第3世代となる「α7S III」だ。暗い場所でも高精細な写真を撮影できる上に、動画(ムービー)撮影機能に磨きをかけたニューカマーは、期待を上回る仕上がりの1台になっていた。

待ちに待った「α7S III」、まずは外観からチェックしていこう。一番大きな変更点は上下左右に角度を変えられる「バリアングル方式」の液晶モニターだ。Sシリーズとして初採用となるが、静止画(スチル)用途というよりはムービー撮影での利便性向上を狙っている。モニターを展開すると、電動ジンバル(手ぶれを補正する装置)の使用時やセルフィー(自撮り)でのVLOG(ブイログ、動画で記録する日記)撮影時に威力を発揮する。

加えてタッチ操作に対応した新メニューも搭載。色分けされた新しい画面構成で、スピーディーかつ正確に設定を行えるようになった。電子ビューファインダー(EVF)の画素数は約944万ドット、0.90倍の倍率を誇り、クリアでとても見やすく長時間撮影でも疲れない。

ボディーに配置されるダイヤル類は「α9 II」や「α7R IV」と同等となった。同社の複数機種を使用するときでも、操作に迷うことが少なくなるはずだ。

メモリーカードスロットは世界初となる「CFexpress Type Aメモリーカード」と「SDXCメモリーカード」の両方に対応したデュアルスロット仕様。CFexpress Type Aメモリーカードは、連続撮影や高精細な4K動画の記録を想定した次世代の記憶メディアだ。これによりα7S IIIは大容量のデータを高速に連続して読み書きできるようになった。

心臓部となる裏面照射型CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーは有効1210万画素。Sシリーズとして初めて「像面位相差オートフォーカス(AF)」を採用し、759点もの選択可能な測距点を配置して、高速かつ正確なピント合わせを実現した。

高感度・低ノイズ・広ダイナミックレンジが特徴のSシリーズだが、α7S IIIではさらにそれらを向上させるべく、CMOSセンサーは読み出し速度を従来品の2倍に、新しい画像処理エンジン「BIONZ XR(ビオンズ エックスアール)」は処理速度を同じく8倍に向上させた。スチルはもちろん、よりヘビーなデータを扱うムービー撮影でも快適に使えるカメラになった。

実際にα7S IIIを使ってみると、やや厚みを感じる。これは4K収録を長時間行うために放熱に配慮したボディー設計にしたためだろう。もちろん液晶モニターのバリアングル化の影響もあるはずだ。しかし一度ファインダーをのぞいて撮影態勢に入ってしまえば、ほとんど気にならない。AFは毎秒10コマと高速になり、マイナス6EVといった低照度環境でもきちんとピントが合う。

加えて待望の「リアルタイム瞳AF」が搭載された。被写体が動いていても瞬時に瞳を認識し、瞳にピントを合わせてくれるこの機能は、スチルだけでなくムービーでも使え、撮影と収録を楽にしてくれる。人物だけでなくネコやイヌを中心とした動物にも対応しているので、ペットの撮影も楽だ。

写りも素晴らしい。さすが自社でCMOSセンサーを開発、製造しているソニーだ。ダイナミックレンジが広く、伸びやかで色鮮やかな仕上がりは、日中の明るいシーンから夜間の暗いシーンまで撮影環境を選ばず、上質な写りを約束してくれる。フルサイズフォーマットで有効1210万画素とそれほど高精細ではないが、そのぶん画素ピッチの広いセンサーの威力を堪能できた。

ハイフレームレートの4Kムービーや、HDMIケーブル経由で外部レコーダーへの16ビットRAW動画の出力にも対応し、ますますビデオグラファー向けのカメラになってきたと感じる。ハイブリッドなフォトグラファーにお薦めの1台となっている。

次ページ以降で作例を紹介する。

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