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素材の違いで味わい多彩な藻塩 昆布はうま味たっぷり

魅惑のソルトワールド(48)

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数多く流通している塩の中でも最近、注目を集めているのが「藻塩(もしお)」だ。海藻を用いて作られた塩で、普通の塩のような白いものや、海藻由来の色素で焦げ茶色をしたものまで色味も様々である。藻塩は何といっても磯の香りとうま味が特徴。これまではホンダワラ(玉藻)を使ったものが中心だったが、最近はヒジキやモズクなど各地で採れる海藻を使った「ご当地藻塩」も登場しており、バラエティー豊かで味わいも多様になっている。

藻塩の歴史は、日本の塩作りの起源に遡る。縄文時代の製塩土器が各地で発掘されているが、最初は土器に海水を入れ、火で煮詰めていたようだ。小さな土器で海水を結晶させても、とれる塩の量は少ない。そこで海水の塩分濃度を濃くして煮詰める新たな手法が登場。「藻塩焼き」と呼ばれる方式で、海水の塩分濃度を高めるのに利用されたのが海藻だった。

「藻塩焼き」は日本で独自に発達した製塩方法。その理由は定かではないが、海藻を食用として利用する日本人独自の生活感などに由来するのでは、と推測されている。医師、奥田昌子氏の著書「欧米人とはこんなに違った日本人の『体質』」によれば、アサクサノリに関する研究データから、日本人にだけ海藻に含まれる食物繊維を分解できる特殊な腸内細菌が存在することが明らかになったそうだ。藻塩は海藻そのものを食べるわけではないが、海藻を食べ物として捉えていたから、藻塩焼きという製塩方法を考えついたとも推測できないだろうか。

藻塩づくりは地域によっても多少の違いはあるが、「海藻灰浸漬法」と「海藻浸漬法」の2種類に大別される。両者の違いは海藻を焼き、その灰を海水に浸すか、焼かずに浸すかという点にある。藻塩は今や海藻エキスを添加したものなども含まれるようになっているが、昔ながらの製法による藻塩がほしいという方は、パッケージの裏面に「工程:浸漬、平釜」と書かれたものを選ぶようにするといいだろう。

藻塩は通常の塩より、うま味や独特の風味が強く出る傾向がある。海藻由来のエキスが含まれているからである。例えば藻塩に一般的に使われてきたホンダワラ。本州から九州まで幅広く分布し、水深1~2mのあたりに生息するため、収穫もしやすい。地域によって玉藻、神葉(ジンバ)などと呼ばれている。海藻独特の磯の香りが強く、サクサクとした食感が特徴で、佃煮や煮物、酢の物、炊き込みご飯の具材などとしても使われてきた。

昆布(コンブ)より、うま味成分は少ないが、代わりに食物繊維やマグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルを多く含む。ホンダワラを使って藻塩焼き製法で作ると、磯の香りがしっかり鼻に抜け、ナトリウム以外のミネラルも含んだ藻塩ができやすい。

そのほかの海藻で藻塩を作った場合はどうか。ヒジキであれば鉄分が多く、昆布はうまみ成分がたっぷり。アラメは水溶性食物繊維が豊富だ。近年多く使われるようになったアカモクは鉄や亜鉛、マンガンなどの微量ミネラルやポリフェノール、フコイダンなどの健康成分を多く含む。モズクはフコイダンやアルギン酸、生活習慣病予防に効果的なフコキサンチンが豊富だ。複数の海藻をミックスした藻塩も最近は登場し、より濃厚な味わいが楽しめるようにもなっている。

藻塩と相性が良いのは魚介類。藻塩の磯の香りが、魚介類の持つ香りと同化し、口の中で濃厚なうま味に変わる。生の魚介類に使えばフレッシュ感すら演出できる。うま味が強い昆布を使った藻塩などは、お吸い物の味付けをはじめ煮物のコクだしや塩おにぎりにもおすすめだ。

あえて山のものと組み合わせてみてもおもしろい。うま味の相乗効果を発揮し、味わい深いからである。私もいろいろ試してみたが、鉄分を含む肉や根菜類とどうやら相性が良いようだ。牛肉や羊肉、レバーなどの肉類と、ゴボウやジャガイモなどの根菜類を藻塩が上手にまとめてくれるように感じる。

昔ながらの藻塩焼き製法は、製塩技術の進歩とともに一時期、廃れたが、一部の生産者たちの努力で、じわりと復活の兆しをみせる。また「藻塩はおいしい」という評判もあって今では、北は北海道の「昆布塩」から、南は沖縄の「もずく塩」まで地元の海藻を使ったご当地藻塩が続々と登場している。いくつかご紹介しよう。

▼北海道地方

「万葉の詩塩」

建設業を営む傍ら、八雲町(旧熊石町)に新たな名産品を生み出そうと海洋深層水を利用した商品開発に着手。周囲の反対を押し切り、試行錯誤の末に地元産の海洋深層水と昆布を活用した藻塩を生み出した。しょっぱさが非常にまろやかで濃厚なうま味があり、後味に甘味が残る。

製造会社:熊石深層水株式会社

原材料:海水(熊石海洋深層水)、昆布(八雲町熊石産)

▼東北地方

「竈炊(かまだ)キ藻塩」

この塩が生産される宮城県の塩竈(しおがま)地域は日本各地に塩づくりを伝えた塩土老翁神(しおつちおじのかみ)が最後に定住した地と言われている地域で、祭られている御釜神社では毎年藻塩焼神事が3日間かけて行われている。その製法を踏襲し、ホンダワラに海水をかけながして濃縮塩水を得て、平釜でじっくり煮詰めて結晶化。藻塩の中では海藻の風味が強くなく、日常的に使いやすい。

製造会社:合同会社 顔晴れ塩竈

原材料:海水(塩竈)、ホンダワラ(塩竈)

▼中部地方

「佐渡藻塩」

新潟県の佐渡島で生産される、3種類の海藻をミックスして使用した珍しい藻塩。少ししっとりしている。非常に色が濃く、焦げ茶色をしている。ほどよい磯の香りとまろやかなしょっぱさで、マグネシウムも豊富。おいしい苦味が感じられ、根菜類やチョコレートとの相性も抜群。

製造会社:佐渡風塩釜

原材料:海水(七浦海岸)、ナガモ、ホンダワラ、アラメ(七浦海岸)

▼中国・四国地方

「海人(あまびと)の藻塩」

万葉集にもうたわれ、多くの藻塩焼きの製塩土器が出土しているエリアで生産される日本でもっとも有名な藻塩。乾燥させたホンダワラを海水と一緒に煮込んでエキスを抽出し、さらに煮詰めて結晶させる。しょっぱさ、うまみ、香りのバランスが良く、なんにでも合わせやすい。

製造会社:蒲刈物産株式会社

原材料:海水(広島・呉)、ホンダワラ(国産)

海水や製法によって塩の味わいは大きく変化する。藻塩づくりで使用する海藻が違えば、さらに違いがでる。確認できるだけでも現在日本全国で100種類近い藻塩が生産されている。ぜひお気に入りの一品を見つけてみてはどうだろう。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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