オールナイト明けの牛丼?

――みんなでアウトプットし合うと面白い見方がたくさん出てきそう!間違ってていいんだ。アートにも正解があるんだと思ってました。

「『アウトプット鑑賞』と呼んでいるのですが、まずは絵を見て気付いたことと、なぜそう思ったのかを何でもいいので言ってもらうということをやります。イベントでホッパーの絵を出したときは、オール(オールナイト)明けの早朝に牛丼を食べに来た、みたいな意見も出ていました。ほかには、入り口はどこにあるんだろうとか」

「13歳からのアート思考」の著者、末永幸歩さん

――ほんとだ、入り口がない。

「よく見ると建築も少し変ですよね。こんなに大きいガラス張りの窓の建物はあるんだろうかとか、そもそも道路のこんなところに建物があるのはおかしいとか、そんな気付きを話していくうちに、ひょっとしてこの人たちはマネキンなんじゃないかみたいな話も出てきたんですね。イベントの後半では自分一人で物語を書くということをやります。実はこの店はミニチュア模型で、3歳の子供が店の中の人をひょいっとつまみ上げる、という話を考えた方もいました」

――へー、面白い!その視点はなかった。

「さやかさんみたいにいきなり自由に発想できる人は多くないので、まずは人と一緒に対話しながら見ていけば、絵の見方が今みたいにバッと広がるんじゃないかなって思います。日本の美術館は静かに見なければいけないという雰囲気がありますよね。でも私が初めてフランスのルーヴル美術館に行ったときに、若い人たちが絵の前で、よくこんなに話すことがあるなと思うくらい、絵について語っているのを見たことがあります」

――私、人と一緒に美術館に行っても、だいたいつまんなくなって先に出てきちゃうんです。例えばジャン=ミシェル・バスキアの絵の前で泣いてた人もいたんだけど、私は全然理解できなくて。

「美術館の見方でおすすめしているのは、まずバーッと回っちゃうんです。その中で、いいなと思った作品と、いまいちだなと思った作品を1点ずつピックアップして、『なぜそう思ったのか?』をアウトプットしてみると、面白く鑑賞できると思います。どの美術館も作品の解説を文章や音声で提供していると思いますが、それはインターネットで調べれば出てくることです。せっかく現場へ行ったなら『誤読』に専念してほしいなと」

――今話していて思い出したんですけど、私、学生時代の就職活動のときにグループワークでお題を出されて、大喜利みたいにどんどん答えていくみたいなのがすごく得意だったんです。例えば東京の満員電車を解決するにはどんなことができると思いますか、とか。2階建てにするとか、みんな会社に住んだらいいんじゃないとか、どんどん思い浮かんできて。

「もしさやかさんが私の生徒でいたら、すごく活躍するタイプかなと思います」

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