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演劇部は現在人形劇に挑戦中

演劇部は現在人形劇に挑戦中

福岡県有数の進学校・久留米大学附設高等学校は学業だけでなく、部活動も重視している。演劇部と合唱部は全国大会に出場するレベルの高い部活動だ。生徒は時間の使い方を工夫するなど、学業との両立を目指している。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が部活動に励む生徒の声を聞いた。

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部活というより劇団

久留米大附設(以下、附設)の演劇部は2014年の全国大会(全国高等学校総合文化祭)で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞した。そのときの演題は「女子高生」。歴史ある女子校の、女子ばかりの演劇部に、1人の男の子が入部するというストーリーを、女子が男子に、男子が女子に扮(ふん)して演じた。もともと男子校だった附設は、05年にまず高校が共学化し、13年には中学も共学化したという背景がある。

脚本を書いたのは演劇部顧問の岡崎賢一郎さん。学生のころから演劇をやっていたが、演劇ではなかなか食っていけない。なんとか演劇をやり続ける方法として、高校教師として演劇部の顧問になることを思いついたという。附設の演劇部顧問に就任したのが約20年前。

「私が来たころは生徒中心に劇をつくっていたのでなかなか認めてもらえず、何年かもどかしい思いをしていました。次第に仲間に入れてもらえるようになって、いまは生徒たちといっしょに作品をつくっています。僕たちは、"部"というより"劇団"なので、このなかでは先生も生徒もタメ語です(笑)」(岡崎さん)

附設の多くの部は週3~4日の活動だが、演劇部の活動日はほぼ毎日の放課後。大会前になれば日曜日まで登校して稽古する。「日中、教室で授業をしている私は仮の姿です。放課後に演劇部にいる私が本当の私です」とうそぶくが、生徒たちからは「岡崎先生は授業も面白い」と評判だ。

「附設の生徒たちはセリフの覚えも速いし、段取りもいい。やっぱり優秀だなあと思います。彼らは社会のリーダーとして生きていくひとたちですから、広い視野をもってもらえるように、演劇の中にもいまの社会を考える視点を取り入れています」

冒頭の「女子高生」は、ジェンダー・ステレオタイプをテーマにした作品だ。附設で実際に起きたことを、男女反転して描くことで、自分たちが無意識にやっていた「女って……」「男だから……」というジェンダー・ステレオタイプの押しつけに目を向ける狙いがあった。

19年春の全国大会(春季全国高等学校演劇研究大会)では、「砂漠ガール」という作品を演じた。ヨルダンからの交換留学生を受け入れる女子高生たちの物語だ。劇中、日本人同士の会話はアラビア語で演じられる。観客には何を言っているのかわからない。日本語を理解できない留学生と同じ感覚を観客に味わわせるわけである。

コロナ禍中で挑む最新作には、ソーシャル・ディスタンスを逆手にとって、人形劇を取り入れた。まったく新しい取り組みだ。

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