ビーフシチューは専門店や洋食店など外食で楽しむイメージが強い=PIXTA

開発秘話としてこんな興味深い話もある。

「日本人の主食である『ご飯』のおかずになるシチュー、毎日の食卓に違和感なく登場させられるシチューを!という想いで味づくりをしています。そのために『うま味』と『乳』の絶妙なおいしさが味わえるように仕上げています」(田村さん)

以上の歴史をまとめると、クリームシチューは「日本の学校給食に着想を得て、西洋の料理を参考に、ご飯に合うように開発され、家庭料理と発展していった日本発祥の料理」ということになる。

さて、冒頭にクリームシチューは「食の論争」の定番と書いた。食の論争とは「目玉焼きにかけるのはしょうゆかソースか?」「お好み焼きはご飯のおかずになるか否か」など、「譲れない食のコダワリ」を巡って家庭やネットなどで意見が対立することである。

ネットの掲示板では「クリームシチューに合わせるのはパン? ご飯?」という質問がよく見られる。バターや牛乳などの素材に合うものといえばパンだが、ご飯に合うように作られたという歴史があるので、これは「ご飯に合わせるのもアリ」と結論づけていいだろう。

この「パンご飯」論争は夕食にどちらを用意すればよいかという素朴な疑問からの質問で、それに答えるのも「我が家はこうです」と平和なうちに終わるのだが、「ご飯にかけるか、わけるか」論争(以下、「かけわけ」論争)はなぜか毎度紛糾する。

どちらかというと「わけ派」のほうが優勢で、大別すると「クリームシチューかけるって、牛乳をご飯にかけるみたいなものでしょ。牛乳とご飯は合わない」という「素材の相性理論」派、そして、「汁ものを何でもご飯にかけるのは下品!」という「マナー重視」派がいる。

それに対して「かけ派」は「じゃ、ドリアはどうなんだ。牛乳だろ。ドリアは食わないのか!」「カレーはかけてもよくてなぜクリームシチューはダメなのか」「雑炊とか冷や汁とか一切食わないんだな!」と応酬する。

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