新商品で一発当てるには? 事実の中から独創の共通項
第20回 帰納思考
一発当てるにはどうすればよいか?
これから世の中がどう変わっていくか、顧客がどんなものを好むか、商品や事業の開発に携わる人にとって最も知りたい情報です。不透明な世の中だからこそ、的確に未来を見通せた人が勝利をつかむことができます。
仮にあなたが、新たな商品を企画するにあたり、来年度の市場や顧客の動向を予想しなくてはならなくなったとします。果たしてどんなやり方で未来の仮説を立てるでしょうか。
おそらくやり方は2通りだと思います。一つは、既に知られている原理や法則をつなげて予測するやり方です。「不景気が続く」「不景気だと節約志向が高まる」「節約志向が高まるとコスパが求められる」とやって、「だから、来年は〇〇がはやる!」といったように。
これが前回ご紹介した「演繹(えんえき)的思考」です。大学教授やコンサルタントなど、確実に正しい推論を展開したい人がよく使う方法です。
ところが、このやり方で商品開発をするには難があります。誰がやっても似たような結論になり、差別化ができなくなってしまうからです。過去の経験則が通用しない世界を見通すからこそ、大ヒット商品が生まれます。この方法はあまりマーケター向きではありません。
そこで使いたいのがもう一つのアプローチです。今、世間で伸びている商品やサービスを調べ、「健康志向」「きずな志向」「ご近所志向」といった共通点を探し出し、「だから来年は〇〇がはやる!」と結論づけるやり方です。
これが今回紹介したい「帰納思考」です。演繹思考とあわせて必ず覚えてほしい思考法です。両方をうまく駆使すれば、考える力は大いに高まります。