2020/12/1

「形式的に女性を1人か2人登用する時代は終わった。男性パネリストばかりのパネル(panel)は、男性目線の意見を表すマネル(manel)だ」。日本の女性活躍や海外戦略を支援するメラニー・ブロックさんはこう話す。

ブロックさんはテレビの討論番組を見て男女比を確認し、SNS(交流サイト)などで発信している。「目標に向け一気に進めるにはトップ自らが行動する必要がある」として、オーストラリアの取り組みを例に挙げる。

企業経営者らが参加する「Male Champions of Change」では、ビジネスイベントなどへの講演を求められた際、女性の話し手が参加しないなら拒否しうると誓約している。男性ばかりでは聴衆に排他的な視点を与えることになり、目に見えるロールモデルに女性がいなければ女性リーダーの不在が続いてしまうと考えるからだ。

「適任の女性がいない」「女性が登壇したがらない」「来場者が女性登壇者を求めていない」といった言い訳も当然、禁句だ。

イベントに限らず、社内外の会議参加者も見直したのがAIGグループだ。AIG損害保険のケネス・ライリー社長兼最高経営責任者(CEO)らが8月、全社員に送ったメールでは「原則として20人以上の社員が集まる場においては女性をスピーカーに含めること」を求めている。

昇進の際には男女双方の面接を受けることや、採用、昇進の候補者リストに男女両方を含めることもルール化した。ライリー社長は女性リーダーが可視化されることで若い女性が自分もやればできると自信を持ち、幹部の気づきにもつながると期待する。

実際に営業店の幹部会議は男性ばかりだったが、リーダー候補の女性を発表者にしたり、議論のメンバーに入れたりすることで男性の意識が変わった。女性自身も見て学ぶ機会が増えたという。「発言者がすべて55歳以上の男性なら同じような意見しか出てこない。ほしいのは次の時代につながる新しく、とがったアイデア。1年後にその成果を話せると思う」。ビジネスの成長にも自信を見せる。

■10人集まったら多様性意識を
「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%に」。この政府目標が掲げられたのは03年だ。17年たっても達成には遠く及ばないのだから、今までのやり方で女性登壇者を増やすのは容易ではない。
コムエクスポジアム・ジャパンの古市社長は「10人集まったらダイバーシティを意識しよう」と提案する。まずは日常の会議や研修からメンバーを見直すことで、多様な意見を共有できる場にしたい。
(女性面編集長 中村奈都子)

[日本経済新聞朝刊2020年11月30日付]