首都圏の進学校生の受験事情に興味津々

――型にはまらない、柔軟で合理的な生徒自治が機能していると思うのですが、一方で附設の生徒自治の課題は何ですか。

生徒会長 首都圏の私立進学校との違いがあると思います。首都圏の超進学校の生徒の多くは塾に通って大学受験対策をすると聞きます。でも附設は、受験勉強を学校でやる学校です。附設生には塾に行くという選択肢がありません。ですから、附設生は、学校という単一の空間の中に、勉強と自治活動の両義性を保たなければいけません。そのバランスが難しいです。

旧委員長 首都圏にある有名な東大受験専門塾のことなんて、附設生は大好きですよ。九州にはないので、「どんな世界なんだろう」と想像を膨らませながら、そこが出している問題集や単語帳を買って勉強しています。

生徒会長 最近は教育系ユーチューバーなんかがそういう情報を発信していたりもするので、なんとなく「こういう世界なんだろうな」というのは見えてきてはいますが、附設生にとってはいずれにしても遠い世界です。

新委員長 逆にいうと、学校の中で勉強とそれ以外のことの両立をかなえられれば、それが附設生の強みになると思います。勉強ができるだけのひとじゃなくて、状況に応じていろいろな思考ができるひとになると思います。

旧委員長 首都圏と比べると、九州には自由な学校が少ないと思います。私は附設の自由な校風に憧れました。附設の自由の延長線上に生徒自治があります。ですから、せっかく附設に入れたのなら、生徒自治に関わろうという思いがありました。実際にやってみて、「なんで自由があるんだろう」と考えました。

左から、山中心源さん、土橋乃空さん、井浦健人さん

――ほう!

旧委員長 誰が何と言おうと絶対だと思っていることがあって、学生の本分は勉強なんですよ。進学校の生徒が自由を与えられているのは、進学校の生徒が自由を獲得する手段として勉強を頑張っているからではないかと思います。そんなことをかみしめながら、附設の自由を満喫しました。自由すぎて、社会に出たときの反応が怖いです(笑)。

――ちょっと意地悪な質問をしますが、いまの理屈だと、勉強しないひとは不自由でもいいということになりますか。

旧委員長 それは難しい部分ですね。学校の方針にもよるんじゃないでしょうか。自由というと野原に放たれた状態をイメージするかもしれませんが、私たちはそういうことではないと思っています。たとえば自分でお金を稼いだうえで好きなことをするというのが本当の自由だと思います。それを学校に置き換えると、勉強をしたうえで生徒会活動なんかをやるのが私たち高校生にとっての自由なんだと思います。

――附設の中ではそういう考え方でみんな勉強を頑張っているということですね。実際、現実社会はおっしゃるとおりのしくみになっているとは思いますが、何かをしないと自由になれない社会というのは、社会として良いことなのかはわからないような気もしますが。

旧委員長 それは今後私たちが視野を広げていかなければいけないことでしょうね。大切なのは勉強だけじゃないんだとは思うんですけれど、附設では努力の対象が勉強であることが多いです。それはやっぱり、附設が、学校の中で受験勉強も完結させなきゃいけない学校だからだと思います。そういった意味でも、首都圏の進学校と対比していただけると面白いんじゃないかと思います。

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久留米大学附設中学校・高等学校(福岡県久留米市)
創立は1950年。久留米大学商学部構内に附設高等学校ができた。中学の1学年定員は160人、高校から40人の入学枠がある。学校に男子寮が併設されているので広域から生徒が集まる。生徒の約2割は寮暮らし。2020年の東大合格者数は31人。東大・京大・国公立大学医学部合格者数の5年間(2016~20年)平均は106.8人で全国12位。同じく国公立大医学部合格者数では全国5位。卒業生にはホリエモンこと堀江貴文氏やジャーナリストの鳥越俊太郎氏、タレントで弁護士の本村健太郎氏などがいる。

〈訂正〉12月6日3:00に公開した「共学でも『おとこくさい』 久留米大附設の自由と自治」の記事中、「卒業生にはソフトバンクの孫正義氏」としたのは誤りでした。本文は訂正済みです。

新・女子校という選択 (日経プレミア)

著者 : おおたとしまさ
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 935円 (税込み)

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