給与クライシスで消える既得権 活躍つかむチャンスに20代から考える出世戦略(98)

写真はイメージ =PIXTA
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コロナショックの中でも案外給与の額面は減っていないし、賞与も許容できる範囲の下げ幅だった、という業界の人たちが多いようです。しかし給与クライシスはこれから本格化してゆきます。ただ、意外なことにそれは決してマイナスの話ばかりではありません。

これまでとこれからの給与クライシス

8割前後の人たちが「給与額は変わっていない。ただ残業代は減った」と答えた生命保険会社のアンケートが話題になりました。

夏の賞与についても、減額された会社が多いものの、一部には大幅に増額した会社もあり、コロナショックが一律の不景気を招いているというわけではありません。

緊急事態宣言解除からしばらくが過ぎ、ワクチンの情報も流れてくる中、コロナの第3波が来ている現状についても、なんとかなるだろうと思っている人が増えていそうです。

飲食業や宿泊業など、特定の業界での苦労が報道されることが逆に、私たちはまだましなんだ、という思いを広めているのかもしれません。しばらく節制しながら過ごしていればコロナショックも去っていくだろう、と思ってしまうのも無理はありません。そもそも日本人にとっての主要な災害は台風であり、じっと我慢して過ごしていれば去っていくものだったのですから。

しかしコロナによる給与クライシスは少なくとも、2021年の夏頃までは続きます。それがどのように続くのか、これまでとこれからとにわけて整理してみます。

まず、緊急事態宣言のあたりから一気に減ったのは残業代でした。リモートワークによる時間管理の難しさや、業務量の減少などが理由だと思われていますが、本質的な理由は少し異なっていて、そのことについては後述します。

次に夏の賞与が減りました。今ちょうど冬の賞与の時期ですが、夏の賞与と同様の傾向が続くでしょう。そしてこの理由も、収益状況が悪化している、ということだけが理由ではありません。本質的な理由は少し違います。

そしてこれからの予測ですが、春の昇給、昇格が控えめになるでしょう。一律で昇給していく給与改定については、最近は秋の最低賃金引き上げと同じくらいのパーセンテージになることが多く、2%前後でした。しかし今年は最低賃金の引き上げ額が数円程度なので、21年春の昇給も極めて限定的になるでしょう。

あわせて、昇格についても枠の縮小や延期が増えることになります。

その後、夏の賞与が復活するかどうかは、ワクチンがどこまで準備されるかによって決まるでしょう。

で、このように整理してもなお「じゃあ2021年の冬からはかなりもとに戻るだろう」と思うかもしれません。

しかしそれはまさに台風災害の発想です。

今回のコロナショックによる変化は、雨戸を閉めて家に引きこもっていて去るようなものではないのです。

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