YOASOBI、ヒット曲『群青』の世界観 マンガから学ぶ

日経エンタテインメント!

“小説から楽曲を生み出すユニット”として、今年に入り注目度が急上昇し、各種音楽チャートで1位を獲得するYOASOBI。作詞作曲を務めるAyaseと、ボーカルのikuraによる男女2人組ユニットだ。彼らが9月にリリースした『群青』は、「マンガ大賞2020」の大賞などに輝いた、美大受験を描いた『ブルーピリオド』からインスパイアされたもの。初のマンガとのコラボレーション楽曲はどのようにして生まれたのか。

ボカロPとして活躍していたコンポーザーのAyase(右)と、ボーカリストikura(左)による「小説を音楽にする」ユニット。2019年11月に活動を開始した。第1弾楽曲『夜に駆ける』は、ビルボードやオリコンなどのチャートで複数週にわたり1位を獲得
『群青』 『ブルーピリオド』にインスパイアされて制作したアッパーチューン。合唱するパートも設けており、Ayaseは「自分の中で、青春と1番リンクした音楽が、学生時代に誰もが経験した“合唱”でした」と明かす(YOASOBI/配信中)

『ブルーピリオド』は、将来に具体的な目標もなく、空虚な学生生活を送っていた男子高校生・矢口八虎(やぐち・やとら)が主人公の物語。あることをきっかけに、東京藝術大学を目指して奮闘していくという、芸術系スポ根マンガだ。YOASOBIの2人は「この作品には共感できる部分が多かった」と口をそろえる。

Ayase 僕は八虎が絵画制作で苦悩する姿を見て、すごく楽曲制作に似ているなと思いましたね。『群青』の歌詞のテーマの1つが、「努力をすればするほど届かない」というもの。僕自身、曲を作るなかで、いじればいじるほど最初のほうがよかったと思うことが多々あって……。絵画と楽曲で違いはあれど、クリエーティブの難しさや作品が出来上がるまでリアルな過程を知ってもらえることは、すごく意味があるのかなと。

『ブルーピリオド』(山口つばさ) 「マンガ大賞2020」大賞作。『月刊アフタヌーン』で連載中の美大受験物語。美大を目指して切磋琢磨する青春群像劇でありながら、美術にまつわるノウハウやうんちくなども学べる(既刊8巻/講談社)

ikura 私はくじけそうになっても絶対に最後まで諦めない八虎の姿にすごく感動しましたし、勇気をもらった読者も多いんじゃないかと思います。きっと、自分が進もうとしている道が本当に正しいかどうか、不安な若者も多いはずで。だけど八虎は、自分の中で答えを出すということを一貫してやり続けてる。そういうのは、今悩んでる人たちの道標にもなるんじゃないかなって。

Ayase 八虎も最初は自分が何をやりたいのか分からなかったけど、藝大に行くという明確な目標を見つけて、突き進んでいったじゃないですか。僕とかikuraちゃんは、天命かのごとく音楽の道に進んできたタイプで、真逆ではあるんですけど、周りには結構そういう人たちがいる。学生時代の同級生としゃべっていても、「自分の本当にやりたいことがなくて、日々つまんないんだよね」とかよく聞きますし。『ブルーピリオド』は八虎の生き方を通して、そこを鼓舞してくれる。『群青』も、同じような思いを持った人たちを応援するメッセージソングになっていると思います。

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