『BLEACH』から影響を
2人とも、もともと大のマンガ好きで、Ayaseはジャンルを問わず読み漁るタイプ、ikuraは少女マンガを小さい頃から読み続けてきたという。

Ayase マンガ自体が好きなので、いろんな作品を読んできたんですけど、特に好きなのは、パニック系やサバイバル系と呼ばれる、男の子が好きそうな世界観のもの。未知の生物やウイルスが街中で猛威をふるうなかで、主人公たちがどうやって生き延びていくのかにワクワクするんです。『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』や『ハカイジュウ』などにはハマりましたね。でも確かikuraちゃんは、こういうのダメなんだっけ?
ikura そうなんです、怖い系が今も苦手で……。私は小学生の頃から、『ちゃお』などの少女マンガ雑誌を中心に読んできていて。特に『なかよし』に連載していた、魔法少女ものの『シュガシュガルーン』の主人公、ショコラ=メイユールには憧れてました。
Ayase 知ってる! 妹がいたから僕もそれ読んでた(笑)。
ikura そうなんですね(笑)。私がマンガに求めてるものって、やっぱり少女マンガにある世界観なんです。中学生の頃から曲を作り始めたんですけど、当時読んでいた『君に届け』などで学んだ恋愛のエッセンスを歌詞に入れていた記憶があります。最近の作品で好きなのは『思い、思われ、ふり、ふられ』。男女4人の恋の矢印が交差したり、親同士の再婚という外的要因も絡んできたりして、すごく面白かったですね。

Ayase 僕がクリエーターとして影響を受けた作品は、中学校の頃に読んでいた、『週刊少年ジャンプ』で連載していた『BLEACH』。いちいち出てくる必殺技の名前がかっこいいんですよね。「破道の九十 黒棺」とか(笑)。そんなフレーズって日常では使いたくても使えない。でも、曲を作るようになり、自分ではカッコイイと思っているけど、恥ずかしくて口に出せないことを歌詞にする大切さを痛感するようになって。世界観の作り込み方は、すごく影響を受けていますね。
ikura そういう意味では、YOASOBIとマンガは相性がいいのかもしれないですね。『群青』は初めてのコラボでしたけど、すごくハマっている気がしました。
Ayase マンガって日本独自ですごく進化していて、それが海外でも評価されているじゃないですか。それはJ-POPも似ているからなのかなと。YOASOBIも究極のJ-POPを突き詰めたいと考えているので、親和性は高いはずだし、他の作品でも今後またやってみたいですね。
(ライター 中桐基善、日経エンタテインメント! 山本伸夫)
[日経エンタテインメント! 2020年11月号の記事を再構成]